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マダガスカルに無事着いたものの、世界遺産を見に行くのは一筋縄に行きそうもありません。
モザンビーク海峡に面した西の町、ムロンダバ。
ここから、ちょっとした冒険の旅が始まります。

[ 1、波乱編 ] [ 2、冒険編 ]
[ 3、観光編 ] [ 4、帰国編 ]

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 フランス語で会話なんて…!
[ ムロンダバ → ] 2000年6月18日 ★★

重太は、フランス語の知識など全くありません
それどころか、『アンチ』フランス派の一員です。
今後、フランスに行くこともなければ、フランス語を話すこともない、と思っていました。

ホテルの従業員が笑顔で朝の挨拶をしてきます。
「ボンジュール、ムッシュー!」

マダガスカルの公用語は、マダガスカル語とフランス語。
外国人旅行者に対しては、フランス語が使われるようです。

「………ボンジュール!」
…つい、言われたまま、フランス語で返答をしてしまいました…。

「ボンジュール!」
「ボンジュール!!」
食わず嫌いしていたフランス語も、使ってみると別になんてことありませんでした。

挨拶だけとは言え、よく知りもしない言語を口にしている自分が、なんだかフシギでした。

Madagascar 2000

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 北へ疾走…!
[ ムロンダバ → ] 2000年6月18日 ★★

フランスパンとフレンチスタイルのコーヒーで朝食をとった後、いよいよ世界遺産『チンギ・ド・ベマラハ』へ向け出発です。
重太とガイドのベンジャミン、ドライバ−二人と4人でムロンダバから北へ向かいます。

「…うわっ! うわっっ!!」
TOYOTAランドクルーザーは加速、減速を繰り返し、波の様にうねる砂の道をはずみながら進んで行きます。



「12月から4月はひどい雨期で、道の表面が流されちゃうんだよ。」
それで、こんなに起伏の激しいラリーにもってこいの悪路になってしまったそうです。
この中では化粧もヒゲそりもとても出来そうもありません…。



町を抜け、バオバブ街道の樹々の間をぬけ…。

車内は暑いので通気性をよくするため、窓はあけっぱなしです…。
もちろん、車内も人間もホコリまみれ…。
気のせいか鼻毛も少し伸びた様な気がします。



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 バオバブ街道
[ → 道中 → ] 2000年6月18日 ★★

ムロンダバを出発し、一行はひたすら北上を続けます。
バオバブ街道に入ったその時です。

「……うわぁ………!」
目の前にはバカでかいバオバブの木が姿を表しました。

「あれがバオバブ=サクレッツだよ。」
その木は他の木々より1段高く飛び抜けています。



『バオバブ』とはアフリカ大陸にのみ生息する大木です。
神様が木を引っこ抜いて逆さにつきさした、と言われるように枝が根の様に広がっているのが特徴です。

「バオバブの木はアフリカ大陸には1種類しかないけど、マダガスカルには7種類もあるんだ!」
アフリカ大陸から少し離れた島で独自の進化を果たしたんだ、とガイドのベンジャミンが得意気に教えてくれました。

近付いてみると幹の太さに改めて驚かされます。
「……11、12、13!」
1周してみると13歩もありました!


下から見上げると木の堂々たる姿に、その名の通り神聖さ(=サクレッツ)を感じます。

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「あれはバオバブ=フォニ。 上に向かって枝が伸びてるでしょ?」
「あれはバオバブ=ザ。 下に向かって枝がたれているんだ。」
草原に点在するバオバブの木々。
どこか他の星に来てしまったかのように非日常の風景がそこにはありました。



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 川にて
[ チリビーナ川 ] 2000年6月18日 ★★

4時間程走り、車はチリビーナ川に到着しました。

多分、対岸に渡るのでしょうが、橋が見当たりません。
川を前に車はずっと止まったままです。
まわりにはボロボロのほったて小屋やみやげ屋、食堂があり、そこで人々は何かを待っている様でした。

しばらくすると、船を4隻横につなげた急造渡し船が到着しました。
どうやら、これが川渡しをするようです。



まず、乗用車を3台器用につめてのせます。
続いて、バケツにいれた牛乳をもった少年や通行人も乗せ、ポンポン船は動き始めました。

「この船って定期便なの…?」
重太はガイドのベンジャミンに聞きました。

「そうだよ。」
「時間には正確なの…?」
「………『大体』ね。たった30分遅れてるだけさ…!」
日本人には理解しがたい大らかさがマダガスカルにはある様です。

「…でもね、船に車を乗せられるかわからなかったから、ちゃんと予約を入れておいたんだよ!」
意外にも、お客様のためにしっかりとツアーを組んでいてくれている様でした。

「普通、渡し賃は車1台45,000フラン(約7ドル)、予約を入ると100,000フラン(約16ドル)。」
ここらへんは、かなりしっかりとしている様です。

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すぐ先に対岸は見えているのに、船を岸に寄せようとしません。
それどころか川下に向けてガンガン進んでいきます。
どこに向かっているのか、あとどの位このボロ船にのっていなくてはならないのか。
何も状況がわからないまま、重太はマダガスカルの炎天下にさらされ続けていました。

「……あちぃぃ…。」
南半球にあるマダガスカルでは6月は冬のはずなのに…。

30分程川下りをし、船は対岸の町ベロ チリビーナに着きました。



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 さらに北へ…
[ → ベコパカ ] 2000年6月18日 ★★

「……んまい!」
町のレストランへ行き、ぶっかけご飯(=ご飯とエビの煮込み)を食べました。


昼飯を消化する間もなく、さらに北へ向け再出発です。

砂の道は更に悪くなります。
バオバブの木は既に見受けられなくなり、日本でもはえていそうな木々の間を車は延々と走り続けました。

ドライバーが『熟練さん』から『新米ドライバー』に代わりました。
どうやらこの機会に砂漠でのドライビングテクニックを上げるために、同乗してきていたようです。

悪路のせいか、ドライバーが未熟なせいか、車は先ほどまでの様な軽快さはなくなり、やや慎重でスピードダウンした感じです。

「おいおいおい! うそだろ!!」
車は車輪が段差のあるわだちにはまり、体勢を崩して横転しそうになりました。

急いで逃げるかのように、車から飛び下りる熟練ドライバーとガイド。
「…おいっ! ど、どこ行くんだよ!!」
彼らは逃げたのではなく、倒れそうな車をささえに降りたのでした。

このあたりは、木がポツンポツンと点在する大自然のど真ん中です。
車などめったに通らず、村はおろか、民家など1つもありません!
もし、こんなところで横転して身動きがとれなくなったら、たまったものではありません!
いくら呼んでも、JAFは絶対に来てくれないでしょう…。

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「やったぁーーー!」
なんとかうまく車のバランスをとり、静かに溝からぬけだし、横転するのを防ぎました。
草原で遭難する事は免れた様です。

「おぉぉぉぉぉ!!」
ちょうどその時、西の空、ちぎれ雲の向こうに鮮やかな夕暮れを見る事が出来ました。
あやうく大きなトラブルになるところにこの大自然のパノラマ。
ホッと安心し気持ちが落ち着きます。

「もうすぐで着くからね。」
横転騒ぎで思わず時間をくってしまいましたが、今晩の宿はすぐそこの様です。


その先に『もっと大きなトラブル』が待ち受けていることに、まだ重太は知りません…。

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 最悪の事態への序曲
[ ベコパカ ] 2000年6月18日 ★★★

なんとか宿のすぐ手前、マナンボロ川に到着しました。
あたりは既に真っ暗です。
村らしき一角があるのですが、明かりなど殆どありません。
大自然の闇を実感すると共に、街灯のスゴさをここで思い知らされました。

この川にも橋はありませんでした。
雨期に川が大増水するらしく、頑丈な橋を建てる事が出来ない様です。

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ここに着いてすでに20分。
川の前で立ち往生したままです。

「もう真っ暗だからって、地元の人が船を出すのをしぶっててね…。」
その間、ガイドたちは船を出してもらう交渉をずっとしていた様です。

「うわああぁぁっ……!!!」
船を川岸で待っている間、車のヘッドライトのまわりには虫がわんさか飛んでいました…。

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…マズイ、これは非常にマズイです。

どんな病原菌を持った虫や蚊が飛んでいるか、わかったものではありません。
日中の暑さで汗をかいた重太は虫の絶好のターゲット。
急いで長袖のシャツを着て、虫にさされないようにしますが、虫除けスプレーは車の中…。
なんだか、とってもイヤな感じです…。

新米ドライバーがチンタラ走るからこんなことに…。
車の横転未遂で時間を浪費したりするから、こんなことに…。


これが発端で重太はあとでものすごく大変な事態になってしまいますが、 それはまた『のちほど』…(2004年12月21日頃、公開予定)…。

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 再び川にて
[ ベコパカ ] 2000年6月18日 ★

地元の川渡しが嫌がってるため、いくら待ってもマナンボロ川を渡る船を出してもらえない様子です。

…しかし、川を渡らない事には今晩の宿へたどり着けません。
なんとか頼み込んでイカダ船を出してもらいました。

船と岸を木の板で渡し、車をイカダ船に乗せます。
(写真:右。これはムロンダバへ戻る際、撮影=明るい時間)

そして数十人の地元の人が暗い中、川に入りイカダをおしたり、オールを川底につきさしたりして人力で船を進めます。
これは、ものすごい重労働!
地元の人が暗い中、こんな労働をしたがらないのもうなずけます…。

重太がチンギへ行きたい!と言ったがためのこの大騒ぎ…。
申し訳ない気もしますが、お金はキチンと払っているので、ここは堂々としておきましょう。

「橋さえあれば、こんな苦労、必要無いのに…。」
日本人が当たり前のように使っている『橋』のすごさ、便利さを改めて思い知らされました。

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しばらくして、船は30m先の対岸へ無事着きました。
宿はそこから5分もかからない場所にありました。

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 日本じゃありえない朝の一幕
[ マナンボロ川 ] 2000年6月19日 ★

…次の日。

いよいよ世界遺産:『チンギ・ド・ベマラハ』を見に行く日です!
このためにマダガスカルに来たといっても過言ではありません!!
どんな風景に出会えるのか、期待で胸がいっぱいにふくらみます!

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「………。」
ところが、集合時間、集合場所にベンジャミンはなかなか姿を表しません…。

「おーい、起きろぉ…。」
旅行者の重太がガイドのベンジャミンを起こすハメに…。

「…昨日、遅くまでバーで酒を飲んでてさ…。」
そんな言い訳、聞きたくありません。

日本じゃ到底考えられない素晴らしいイベントで1日が始まりました…。

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 川岸の秘密
[ マナンボロ川 ] 2000年6月19日 ★

寝坊した『アホ』ガイド=ベンジャミンと共にとっとと朝食を終え、いよいよ世界遺産=チンギ・ド・ベマラハ観光へ出発です。

「へ、ここだったの?」
昨日渡るのに苦労したマナンボロ川がなんと、チンギへの入口だったのでした!
昨晩は既に日が沈み、電灯や街灯などなくまっ暗で何も見えなかったのです。

近くには小さな村までありました。
そんなことも全くわからなかったなんて…。
闇の暗さ、太陽の偉大さをこんなところで思い知らされます。

「…あ、あれは…!」
ある村人(男)がサッカー日本代表のユニフォームを着ていました。
アルゼンチンやブラジル、イタリアやドイツでなく、日本代表のユニフォームを着てるなんて!

…アフリカには、珍しい人もいるものです。

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 マナンボロ川下り
[ マナンボロ川 ] 2000年6月19日 ★

重太、ベンジャミン、ドライバー、このエリア一帯のガイドをしてくれるレンジャー隊員さん、の4人でツアー開始です。

木の幹をくり抜いただけの実にシンプルな船でまず川下りをします。


茶色い川は左右を絶壁に囲まれ、その上には樹々が生い茂っています。
水面近くの壁は川の流れで削り取られています。



「こんな景色は今までみたことないなぁ…。」
川の上にせり出した『地面』がなんで崩れ落ちないのか、フシギでたまりません。


「くれぐれも人指し指であれこれ物をささないようにして下さい。」
観光前にレンジャー隊員さんから何度も釘をさされました。



このあたりでは物を指差す時は人さし指をむけず、指を折り曲げ第2関節で指し示すのが習わしだそうです。
人差し指でさすと、何かよからぬことでも起こるのでしょうか?

川くだり中、壁の割れた隙間に白く丸いものが見えました。
「あの鳥の卵みたいの、なに?」
「人差し指!」
「…は!!」
つい、いつものクセで人差し指でさし示してしまいます…。

「あれはここの先住民のお墓です。見えているのは人の頭蓋骨ですよ。」
この地域の人たちは、断がい絶壁のちょっとした隙間を埋葬場所にしたようです。

「どうやってあんな場所まで遺体を運んだんだろう…?」
素朴な疑問が残ります。

他にも白く丸いものが見えました。
「あれもお墓?    …………はっ!」
「人差し指!」
「…は!!」
何度、注意されていても、つい、いつものクセが出てしまうおバカさんに、悪いことが起こらねばよいのですが…。

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 洞窟探検
[ マナンボロ川 ] 2000年6月19日 ★★★

船を絶壁の隙間に寄せ、重太たちはその先にある洞窟へ向かいます。
カメラさんや照明さんはいませんが、気分は正に『川口ひろし探検隊』です。



地面は砂地、壁は洗濯板の様にギザギザになっています。
少し上に目をやるとカーテンの様な岩がぶら下がっています。
「不思議だなぁ…。どうやって出来たんだろう?」
ここにも自然がおりなす芸術作品がたくさんありました。

洞窟内を数m進むと、すぐに真っ暗になります。
ここでは懐中電灯は必須アイテムでした。

ゆったりと流れ落ちる水を固めたような岩。
つららの様に天井からぶらさがっている岩。(=スタラクティット)
柱のように地面と天井をつなぐ岩。(=スタラグミット)
洞窟内には何万年もかけて作られた不思議な岩がそこら中にありました。



「12月から2月の雨期になると、この洞窟は完全に水で浸ってワニの住処になるんですよ。」
レンジャー隊員さんが何気なくとんでもないことを説明してくれました。

「え? …乾季の今はどうなんですか?」
「今はワニはいませんよ。」
どうしてそう言い切れるのでしょう?
地元のレンジャーさんがそう言うのだから多分本当なのでしょうが、それから気分は落ち着かなくなりました。

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 チンギへ向かう前に
[ チンギ ド ベマラハ ] 2000年6月19日 ★★

川下り、洞窟探検を終え、チンギの入り口まで戻ります。
「さ、早く針の岩山を見に行こう!」
昼飯を食べ終え、次の観光への準備は万端です。

「昼時は日射しがものすごく強いから歩き回るのに向かないんだ。今はゆっくり日陰で休む時間だよ。」
もっともな説明をきき、お昼休みを一生懸命、満喫する事にしました。


…午後2時。
いよいよ針の岩山めぐりに出発です。
これを見にマダガスカルまで来たと言っても過言ではありません。
重太にとってのメイン・イベントが今、まさに始まろうとしています!

これから数時間、大自然の密林の中をのぼったり下ったりトレッキングをするそうです。
「トイレは今のうちに済ませてきて下さい。」
レンジャーさんから出発前に注意事項の説明がありました。

「自然を壊さない様に。」
「岩や木に落書きをしない様に。」
どれもこれも、ごもっともです。

「それと、この区域ではゴミは絶対に捨てないで下さい。」
言ってるそばからアホガイド=ベンジャミンはペットボトルのフタのいらない輪っか部分を地面に投げ捨てていました。

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 チンギめぐり、開始
[ チンギ ド ベマラハ ] 2000年6月19日 ★★

行く手を邪魔する木々、絶壁の岩に囲まれた溝地帯。
道なき道をレンジャーさんについて歩いて行きます。

岩山を登ったり、斜面を降りたり、せまい所を体を横にしてゆっくり進んだり…。
冒険気分を味あわせてくれる面白い場所です。



…しかし、体力の無い人、足腰の弱い人、そして、おデブな人にはお勧めできない場所です…。

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 針の岩山
[ チンギ ド ベマラハ ] 2000年6月19日 ★★

「おおおぉぉぉ!!」
1時間の岩山、密林探検の末、目の前に『針の岩山』が出現しました!



雨によって削られた洗濯板を横に置いた様なトゲトゲした岩山が連なっています。
中には水平に切れ目の入った不思議な岩もありました。



本や旅行会社の壁に貼られたポスターで見た憧れの風景が、今、目の前にあるのです。
「マダガスカルに来てよかったあぁ…!」
これこそが重太が思い描いていた世界遺産『チンギ ド ベマラハ』そのものです。

「『チンギ』とは『つま先歩き』という意味なんですよ。」
確かにこんなにとがった岩の上は普通に歩けるはずがありません。
なかなか面白い名前をつけたものです。



「(……でも、想像より小さいなぁ…。)」
岩山は首を一振りすれば視界におさまってしまう程のものでした。

『針の岩山が遥か彼方まで永遠につながる景色』
重太は頭の中で、そう勝手に想像していただけにちょっとガッカリです。

「ここは『プチ(=小)チンギ』という所なんだ。もう少し奥に行くと君が想像している様な所があるよ。」
ポスターで見たのは、多分その奥にある『グラン(=大)チンギ』なのでしょう。
目的の場所に来たつもりが、まだその入口に過ぎなかった事を知らされ、ちょっぴりショックです…。

ちなみにこの日、チンギを訪れた観光客は他に3人だけだったとか…。
…ここ、世界遺産なのに…。

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 ひどいガイド
[ ベコパカ ] 2000年6月19日 ★★

南半球にあるマダガスカルの6月は冬。
しかし、日射しは照りつけ、ものすごく暑いのです。
昼休憩をとらず、チンギ散策に出ていたら、直射日光にやられ、あっという間に力つきていた事でしょう…。

1番日差しの強い太陽をさけた3時間に及ぶトレッキングでも、十分、疲労困ぱいになれました…。
早くホテルに戻ってシャワーをあび、ゆっくりしたい気分です。

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…しかし、迎えの車は全然くる気配がありません。

「……早く車をよこしてよ。」
「すぐくるから、ちょっと待ってて。」
ガイドのベンジャミンはそれを繰り返すだけで、地元の人たちとワイワイ楽しそうに遊んでいました。

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待たされること1時間。
やっと迎えの車がきて、ホテルに戻る事が出来ました。
待たされたこともイライラですが、ベンジャミンの『お客様、おざなりの態度』にも不満がつのります。


戻ったホテルのトイレでは、ベンジャミンが朝排出した『物体』が流れずに残っていました。
それを見つけた時の驚きと不快感…。
そこで『用を足す』嫌悪感…。
そんなことを指摘しなくてはならない状況…。
どれも、不愉快、きわまりありません!

「…あぁ、水が足りなくて流れなかったんだ。」
わかっていたなら、どうにかして流しおいてほしいものです。


ホテルの食堂でベンジャミンと一緒に夕食を食べました。

「こっちじゃ生まれたらすぐ割礼するんだよ!ひゃ、ひゃ、ひゃ!」
食事の時にふさわしくない話題をアレコレしてくるベンジャミン。
聞きたくない話題、マナーのない振るまいにうんざりです…。

外国からの客を招く態度とは、到底思えません…。


一晩明け、ベコパカからムロンダバへ戻る日になりました。

出発の時間になってもベンジャミンは姿を表しません。
「早く起きろよ!」
また旅行者の重太がガイドのベンジャミンを起こすはめになりました。

「…昨日、遅くまでバーで酒を飲んでてさ…。」
…そんなこと、聞いていません!!


「…次、何かしでかしたら、絶対、ぶん殴る!」
国際問題になっても構わないと、真剣に思った重太でした。

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 南へ
[ → ムロンダバ ] 2000年6月20日 ★★

おとといベコパカ(チンギ近く)まで北上して来た道を今度は逆にムロンダバへ向け南下します。

「夕陽をバックにバオバブを見るのはいいよ!」
朝寝坊の失態をなんとかぬぐいさろうと、ベンジャミンは魅力的な観光ポイントについて熱く語ります。


「パトロンさん、隣村まで乗せて下さい!」
途中休憩をとった村で老婆とその孫らしき小さな二人の女の子が必死に頼み込んできました。
数10キロ先の隣村まで荷物を届けに行きたいとのことです。



大きな荷物を持ったおばあさんと二人の子供が炎天下で道なき草原を何キロも歩くのは無理があります。
そこでなんとか車に乗せてもらえないかと頼み込んできたのでした。

重太がチャーターしたランドクルーザーはまだ座席に余裕がありました。
「いいよ。乗りなよ。」
やせほそったおばあさんの嘆願を断る理由などありません。
さらに『お金持ちスポンサーの様な響き』の『パトロン』などと呼ばれてしまったら、どうして断れましょう…?


「オエェェェ−…。」
後部座席でおばあさんと下の女の子が戻しまくっています。
悪路による『すごい揺れ』で車酔いしている様子です。
そもそも車自体に乗ったことがないから、こんなにヒドイ酔い方をしているのかもしれません……。

つられて、もらいゲロしない様に、気をつけねばなりません…!


「オエェェェ−…。」
おばあさんの体調は一向に戻りそうもありません。
戻ってくるのは、胃の中身だけ…。

「これ、どうぞ。」
見るに見かねた重太は、コンビニの袋をおばあさんたちに渡しました。

「………。」
お礼を言う余裕すらない程、二人は弱り切っていました。
精気が感じられず、今にも死んでしまいそうな顔つきをしています…。
善意で乗せてあげたゲストに、とんでもない仕打ちをしてしまった気分です…。


…歩いて隣村へ行くのも大変…。
…車に乗っても思いきり酔ってヒドイ思い…。

そこまでして届ける『荷物の中身』がものすごく気になります…。

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 さらに南へ
[ → ムロンダバ ] 2000年6月20日 ★★

「…あ、ありがとう…。」
隣村でおばあさんと小さな女の子たちを下ろしました。
良いことをしたんだか、悪いことをしたんだか、よくわからないイベントでした…。


重太たちは車でさらに南を目指します。

昼飯を食べ、チリビーナ川に到着です。


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川を下る時は30分ですんだのに、のぼるには1時間以上かかってしまいました。
ボロイカダ船のエンジンは川のぼりには向いていない様子です。


対岸の村からムロンダバまで、行きにも通ったバオバブ街道を経由して戻る事になります。

ブォォォ…!
一緒にイカダ船で川を渡った青いルノーが重太たちのトヨタ・ランドクルーザーを抜かして行きました。
フランス車に日本車が抜かれるなんて、あってはなりません…!

「飛ばそうぜ!」
『パトロン』がそう告げると、ドライバーはニヤリとし、アクセルを思いっきり踏み込みました。

ブォォ………ン!!!
直線に差し掛かりました。
一瞬の隙に横からルノーを追い抜きます。



ブォォォ…!
しばらくすると、またルノーがガタガタ道に手間取っているトヨタをうまくかわしていきます。

揺れとスピードが織り交ざった熾烈な先頭争いは延々と続いていきます。
先ほどのおばあさんが乗っていたら、本当に死んでしまったかもしれません…。


「ここを曲がるといい観光ポイントがあるんだ。」
ルノーを置き去りにしたまま、トヨタはわき道へ右折し、このレースに終止符がうたれました。

トヨタの勝ち逃げ、ということにしておきましょう!

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 さらにさらに南へ
[ → ムロンダバ ] 2000年6月20日 ★★

バオバブ街道をそれ、少し進むとそこには何とも不思議な木が立っていました。
隣接した2つの大きなバオバブの木が幹をねじりあわせています。



「これは『恋するバオバブ』っていうんだ。」
なるほど、なかなかいいネーミングです!

どっちが男でどっちが女か気になるところですが…。


再びバオバブ街道に戻り、さらに南を目指します。

「夕陽をバックにバオバブを見るのはいいよ!」
朝からベンジャミンにそう言われかなり期待していたのですが、すでに夕陽は沈んでいました…。


「いい動物園があるんだよ。」
ベンジャミンがフォローしようと、次なる観光スポットを紹介してくれます。

園内は既に暗く、照明などないためよく動物を見れませんでした。


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「お疲れ様でした!」
どうにもこうにも消化不良のまま、先日泊まったムロンダバのホテルへ戻ってきてしまいました…。

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 リコンファーム その3
[ ムロンダバ ] 2000年6月20日 ★★★

夕食後、リコンファームのため、ヨハネスブルグにあるマレーシア航空のオフィスに再度電話をかけました。

「……………。」
電話は鳴ってるのにいくら待っても誰も出ません…。
ただリコンファームをしたいだけなのに、なんでこんなにイライラさせられなくてはイケナイのでしょう?

「ヨハネスブルグ、むかつく!!」
別にヨハネスブルグという町が原因というわけではありません。
しかし、
ケニアに向かう時、スゴク嫌な思いをした町なだけに、責任を全てなすりつけたくなります。

帰りのフライトは、混雑が予想されるので、しっかりリコンファームをしておきたいのですが…。
今はつながらないので、また、後でチャレンジすることにしましょう。

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 リコンファーム その4
[ ムロンダバ ] 2000年6月21日 ★★

…次の日の午前中。
期待せず、ヨハネスブルグにあるマレーシア航空のオフィスに再々度、電話をかけました。

「お電話ありがとうございます。マレーシア航空です。」

やりました!
ようやく電話がつながりました!

「…リコンファームをしたいんですが…!」
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対応がなにか、不自然です…。
よく聞くと、それは音声ガイダンスの声でした…。

「………そのままお待ち下さい。」
オペレーターが出てくるのを待たなくてはならないみたいです。

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 :
「………そのままお待ち下さい。」
…カチッ、…カチッ、…カチッ、…カチッ、…………。
待たされてる間にも、テレホンカードの残り度数はどんどん減っていきます。

「……おい、早くオペレーター、出ろよ………!」
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そして、そのままカードの度数はなくなってしまいました…。
一体、重太は、何のためにテレホンカードを買ったのでしょう?

…それにしても、ヨハネスブルグ、むかつきます…!!!

Madagascar 2000

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念願の世界遺産を見ることが出来ました。
トラブルと冒険続きだったマダガスカルの旅もいよいよ終盤です。

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  マダガスカル2000 [ 2、冒険編 ] 目次 

フランス語で会話なんて…! ………つい、フランス語で…

北へ疾走…! ………世界遺産へ向け、出発

バオバブ街道 ………マダガスカルの固有種

川にて ………橋のない川にて

さらに北へ… ………砂地の道を横転しそうになりつつ北へ

最悪の事態への序曲 ………ここでの出来事が人生最大の危機に…

再び川にて ………橋のない川にて、その2

日本じゃありえない朝の一幕 ………こんなガイド、クビ!!!

川岸の秘密 ………世界遺産への入り口に…

マナンボロ川下り ………不思議な光景を見ながら

洞窟探検 ………自然が作り上げた芸術作品鑑賞

チンギへ向かう前に ………注意事項をきく

チンギめぐり、開始 ………目的地を目指す

針の岩山 ………いよいよ見たかった場所へ

ひどいガイド ………『サービス』という言葉からほど遠い男

南へ ………とんだゲストを乗せてしまう

さらに南へ ………パリダカールラリー気分

さらにさらに南へ ………恋するバオバブを見に

リコンファーム その3 ………本当につながらない電話

リコンファーム その4 ………待たされる電話

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