あっという間のアメリカ留学。
楽しいことも、つらいことも良き思い出として胸に刻まれます。
彼の「Giro o Mundo」アメリカ留学編、いよいよ卒業編です。
[ 1、留学開始編 ] [ 2、英語苦戦編 ] [ 3、前期体験入学 ] [ 4、高校生活編1 ] [ 5、日常生活編1 ] [ 6、後期体験入学 ] [ 7、高校生活編2 ] [ 8、日常生活編2 ] [ 9、卒業編 ]
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卒業記念品 ![]()
1990年5月 ★
卒業が近付くと、シニア(最上級生)は注文していた卒業記念品をいろいろ受け取ることになります。
全シニアの名前の入ったTシャツやマグカップ、グラデュエーションリングなどです。
まず、Tシャツが配られました。
背中一面に卒業生のフルネームが全員分印刷されています。
「あああぁぁ!!」
「どうしたの、ゲイタァ?」
「僕の名前が、Shigeta Kabuk I (シゲタ、カブキ) じゃなくて、Shigeta Kabuk E (シゲタ、カブ ケ )になってる!」
名前を間違えられて、彼もしょんぼりです。
母音が一文字変わるだけでなんともマヌケなものです。
「まさか、マグカップも?」
次に配られたマグカップの裏側にも同様に卒業生の全員の名前が印刷されています。
「…。 ホッ。」
こちらは正しい名前で書かれていました。
そんな記念の卒業マグカップも手に入れた時はうれしいものですが、数年経てばはただのペン立てとなってしまいます。
グラデュエーションリングはかなりお値段のはるものですが、記念にと作りました。
誕生石をリングにつけ、卒業年、名前などを彫り込んでもらいます。
学校では皆がリングをつけるようになりました。
「気持ちワリイから、はずせよ、それ!」
帰国後、当然の様に日本でリングをはめていたら兄にそう言われてしまいました。
確かにごっつくきらびやかすぎるこのリングは、日本では「恐い職業の人」と勘違いされそうです。一度はずしてしまうと、必然性に欠けるこの指輪をする機会は日本では全くありません。
今ではどこかに紛れ込んでしまって、所在はわかりません。
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卒業記念写真 ![]()
1990年5月 ★★
「明日、みんなで写真屋に行って、卒業記念写真を撮るからね。」
卒業時に着るスクールカラーのガウンと帽子を持って彼は写真屋に向かいました。
メンバーはゲイタァ、ウィル、アンドレ、トーマス、エルシー、エレーン、ジョアン、そしてケリーの8人です。
「ヘイ、ゲイタァ、ネクタイは?」
「え?」
男性陣はみなYシャツにネクタイをしています。
「聞いてないよ!」
「でも、普通こうやって着るもんだぜ。」
「…………。」
9ヶ月アメリカで過ごして来ましたが、卒業するのはこれが初めてです。
まだまだ知らないことがアメリカにはあることをここに来てまで思い知らされます。
数日後、胸元に白く輝くTシャツを着た男が一人写ったグループ卒業写真が送られて来ました。
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卒業までのカウントダウン 1990年5月 ★★★
卒業までいよいよあと20日ほどとなりました。
卒業までの日数を書いた大きな模造紙をパーカーホール(食堂)の壁に並べて貼ります。
日めくりカレンダーの用に1枚ずつはがしてカウントダウンしよう、というものです。
「ゲイタァ、絵を描くんだろ? 一枚かけよ!」
渡された模造紙に当時大流行していたアニメ「シンプソンズ」のキャラクター、バートを彼は迷わず描きました。
学内で使うだけなので、多分、著作権にはひっかからないでしょう。
「残り日数と、何かセリフでも書かなくちゃ…。」
「ああ、もういいよ。後は任せて。」
大きな絵を描いた後は、卒業生をおくる委員会のスタッフに任せました。
「あのバート、ゲイタァが描いたの?」
「やるねぇ!」
「うまい! うまい!」
校内でなかなか好評です。
「あのバート、誰が描いたの?」
「あ、俺だよ!」
「セリフのスペル、間違ってるゼ!」
確かによく見ると、「DUDE!」(=みんな!)という単語が 「DOOD!」になっていました。
「そ、そこは俺が書いたンじゃないんだけど…。」
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サインちょうだい! ![]()
1990年6月 ★★
アニュアルが配られました。
アニュアルとは、オークハーバー高校のその1年間をまとめた年間誌のことです。
全員の顔写真やクラブ活動、ダンスパーティーの様子など重太がたどってきた1年が凝縮されています。
卒業アルバムとはちがい、10、11学年の生徒の顔写真も小さいながら掲載されています。
みんなプロマイドみたいにかっこよく写真に写っています。
笑顔もポーズもきまっていて、華やかなアメリカンスクールライフをこの1冊から想像できます。
重太も頑張ってポーズをとっていますが、笑顔はどっかひきつっています。
「サインをちょうだい!」
「これにも何か書いて。」
とお互いのアニュアルを渡し、自分が写っているページにメッセージやサインを書きます。
友達がいればいる程書き込みが増え良き思い出になります。
逆に、新品同様のアニュアルは寂しい高校時代の証明となってしまいます。
「ゲイタァ、俺のアニュアルになんか書いて。」
「OK! 俺のにもメッセージ書いてね。」
「どこにあるの?」 みな同じ表紙のアニュアルを持っているので、注意しないと自分のアニュアルが行方不明になってしまいます。
やっとみつけたアニュアルに書き込みがどんどん増えているのはいいのですが、誰が何を書いてくれたのだかよくわかんなくなっていました。
「ゲイタァ、これ、なんて書いたの?」
「え?」
「こんなつづりの単語、ないよ。」
「あ!」
スペルミスは一生その本に残ってしまうので注意が必要です。
こんなところで未熟な英語力が露呈されてしまいました。
何はともあれ、アメリカンハイスクールの最高の思い出の品、宝物であることは間違いありません。
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タイムカプセル ![]()
1990年6月 ★★
「シニアの生徒は明日、タイムカプセルに入れるものを持って来て下さい。」
モーニングアナウンスが流れました。
卒業を記念して、シニアのみんなの思い出の品をタイムカプセルに詰め、10年後のリユニオンに開けよう、というものです。「タイムカプセル? どこに埋めるの?」
「体育館に行く途中の廊下の床にあるだろ?」
「見たことない? 西暦が書いてあるタイルを?」
「…。 ああぁぁ!! あれか!」
そういえば、前から気になっていたのですが、自転車置き場の近くに
…、1987、1988、1989
と書かれたタイルが並んでありました。
あれがタイムカプセルとのことです。「何を入れてもらおうかなぁ…。」
あれこれ考えた挙げ句、写真を数枚、視覚伝達のクラスで作ったポスターを入れた封筒を詰め込んでもらいました。
一体、どんな写真を入れたのか、10年後まで覚えてはいないでしょう。
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すべてをバラマケ! ![]()
1990年6月 ★★★
ジリリリリリリリ!!
卒業生にとって高校生活最後の授業のブザーが鳴りました。
「ワァァァァァーーー!!」
歓声と共に卒業生がクラスから飛び出して来ます。
長く、つらい高校での学業をとりあえず終わらせることが出来たのです。
ここは何も考えず大いに喜んでおきましょう。
教室や廊下、講堂など学校の至る所に卒業生がノートやメモ、さらにはテストの答案などありったけの紙をばらまきます。
優勝パレードか、新年のお祭り騒ぎか、大統領選挙当選後のパレードの様なにぎわいです。
床から紙を拾い上げ、宙に放り投げ、またかき集め…の繰り返しで、学校中を汚しまくります。
その紙の中にうもれ、おおはしゃぎすることで自分達が高校で学んだことをすべて忘れてしまいそうな勢いです。
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極秘任務 ![]()
1990年6月 ★★★
その夜、すべての卒業生にはある極秘任務が伝えられていました。
『学校に密かに忍び込み、学校中の木にトイレットペーパーを巻き付ける』という任務です。
この学校の卒業にまつわる伝統ということで、我々もやらないわけには行きません!
他にも『学校中に紙コップを丁寧に並べる』、というものもありました。
夜7:00。
卒業生たちが静かに学校を囲みます。
それぞれが持ちよったトイレットペーパーを学校中に植っている木々の幹に次々と巻き付けていきます。「意味ないじゃん!」
と口では言うものの、この単純かつくだらないイベントは、意外と妙な興奮と刺激を呼び起こすものでした。
ファン、ファン、ファン……
この騒ぎを聞き付けたパトカーが出動してきました。
警察沙汰の大騒動になるとはちょっと意外です。
卒業直前にこんなところで捕まって日本ヘ強制送還されでもしたら、ただの笑い者です。
「撤収!!」
一目散に重太は逃げました。
「誰かが学校の木を何本か切ったらしいぜ!」
警察が来たのはどうやらそのためのようです。
いくら卒業記念とはいえ、それはちょっとやり過ぎです。
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名誉協会のピクニック 1990年6月 ★★
「ナショナル・オーナー・ソサエティ」(= National Honor Society)
直訳すると、国家名誉協会です。
それは、学業優秀な生徒、スポーツで良い成績を残した生徒などがメンバーになることができる名誉ある団体です。
重太の成績は決していい方ではありません。
サッカーチームでも目立った活躍をしたわけでもありません。
しかし、誰もがなれるというわけではないこのメンバーに、重太は選ばれてしまいました。
ただ「留学生」というだけで。
学校から豪華な賞状のような会員賞をもらえ、卒業証書に協会のシールを貼ることができました。
さらには、卒業式に紫のガウンの上に名誉ある白き「よだれ掛けもどき」をかけることができるのです。
卒業を間近にひかえた6月のある日に、名誉協会のメンバーを一同に集めたピクニックが開催されることになりました。
ハミャンやアンドレ、リサといった留学生はもちろん、学業優秀のケリーやカールなどもいます。
新聞やボランティアなど課外活動で活躍した面々もそろっています。
そう、これらの面々はオークハーバー学校の「誇り」なのです!
「さぁ、名誉協会のピクニックを始めよう!」
大きな体のアイビー先生が大きな声で叫びます。
バーベキューをして、みんなでフリスビーやサッカーを楽しみました。
「ヘイ! ゲイタァ!!」
「何?」
アメフトで活躍していた男子数人が重太を捕まえました。
「3、2、1、0!!」
「待った、待った!」
バッシャーン!
抵抗もできず、彼は湖に投げ込まれました。
6月とはいえ、オークハーバーの初夏はまだまだ肌寒いのです。
次の日、熱にうなされながらシニアブレックファースト(朝食会)に行くはめになりました。
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やっぱりよそ者? 1990年6月 ★★★
この留学で重太はアメリカに馴染み、アメリカの高校に馴染み、友達もたくさんできました。
そんな彼もいよいよ高校の卒業式を迎えようとしています。
卒業式の前日の朝、シニア(最上級生)全員対象の朝食会が開かれました。
「みんな、卒業する準備は出来てますか? まだでも明日は卒業させちゃうけどね。」
先生方の簡単で楽しいスピーチが開会に華をそえます。
ゆっくり朝食を楽しんだ後、いい意味、悪い意味で目立った人へのプレゼント授与式がありました。
重太もナショナル・オーナー・ソサエティの一員として壇上に上がります。
「ハイ ファイブ!!」
メンバー全員が賞状をもらい、ハイタッチしてお互いの健闘をたたえあいました。その後、前方のスクリーンにスライドが写し出されました。
この町で生まれ、育ち、今高校を卒業しようとしている「オークハーバーっ子」の小、中学生時代の様子などです。
「あれ、遠足の時の写真だ!」
「うわ、みんな小さい!」
懐かしさや共有の思い出から場内では拍手と笑い声がたえませんでした。
しかし、日本から10ヶ月前に来たばかりの重太には、その懐かしさも共有の思い出もありません。
「………。」
この時はいくらシニアとしてみんなと一緒に卒業できるとわかっていても、 日本からきた「よそ者」という気分を振り払えませんでした。
「おれらには一年間、一緒にいたたくさんの思い出があるじゃないか!」
アンドレが留学生みんなを活気づける一言を言いました。
彼もたまにはいいことを言います。
イタリア人の彼の口から女性に関する格言以外に、心に響くセリフを聞いたのは初めてです。
ホームカミング、 ハローウィーン、 クリスマス、 トロ、 イースター、 シニアボール、…。
いろんな思い出を心に刻んで、いよいよ卒業式です。
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そして、卒業式。 ![]()
1990年6月11日 ★★★
午後6時。
あたりがまだ明るい初夏の夕方、オークハーバー高校の卒業式が始まろうとしていました。
父兄や在校生が体育館の観客席で、卒業生の入場を待っています。
体育館の後方、入場口では卒業生が皆、スクールカラーである紫色のガウンを着て、紫色のキャップをかぶって待機しています。
「MIKE is HERE!」(マイクはここ!」
「FREE!」(自由だ!)
「←DITTO」(←隣と一緒)
卒業生のキャップの上には、名前やメッセージ、イラストなど思い思いのデザインをほどこします。
父兄用の一段高い席から自分を見つけてもらうためのナイスなアイデアです。
「これでよし、と。」
重太はキャップの上に日本国旗を張り付けました。中に白い「よだれかけ」をつけている生徒もいます。
これは前述した、「名誉協会会員」である、証しなのです。
重太も留学生ということで協会の会員となり、卒業式でよだれかけをつけていました。
エドガー作曲、「威風堂々」にあわせて卒業生の入場が始まりました。
男女が一組となり横に並んで、体育館の後方から順番に入場してきます。
入場の際のパートナーは自分達で選ぶことが出来ます。
重太はケリーと一緒に入場することになりました。
入場の順番はなんと最初から2番目です。
と言うのも、ケリーが卒業生代表のスピーチをするため、席を前の方に確保する必要があったため、この入場順になったのです。
18年間オークハーバーで生活してきた地元の生徒たちを差し置いて、なんともずうずうしい入場です。
ゆっくりと腕を組んで、前方のステージの手前まで歩いて来ます。
「それじゃ、スピーチがんばって!」
「ありがとう。」
ステージ手前で男子は右へ、女子は左へ2方に別れ、それぞれの席につきます。
300人いる卒業生が次々と入場して来ます。
「あれ?」
最後の方では女生徒が二人並んで入場して来ました。
「うちの高校は女子の方が多いんだよ。」
高校の最終イベント卒業式に同性で入場するのはちょっともったいない感じがします。
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卒業証書、授与 ![]()
1990年6月11日 ★★★
先生のスピーチも、式全体の雰囲気も明るく楽しく華々しく行われます。
日本のおごそかで形式ばった卒業式とは根本的に違うようです。
卒業生代表のスピーチが始まりました。
「みなさん、ごきげんいかがですか?」
日本と違い、列席者に問いかけたり、ジョークを言ったりと明るい雰囲気のスピーチが続きました。
スピーチをするのは、代表1人だけでなく、3〜4組ほどいました。
中には男女のカップルで掛け合いをしながら行うスピーチもあったりしました。そして、いよいよ卒業証書授与となりました。
男女がステージの左右から順番に壇上に上がり、証書を受けとります。
ここでも重太は最初から2番目に卒業証書を受け取ることになってしまいました。
「ネイサン、レッドベター」
「キャサリーン、スミス」
一人一人が名前を次々と呼ばれ、ステージに上がって卒業証書をもらいます。
ガッツポーズをとる生徒、先生と抱き合う生徒、飛び跳ねる生徒。
それぞれが卒業の喜びを体で表現します。
「シゲィタ、カブゥキィ」
「ケリ−、ブラウン」
「ハイ! ハイ! ハイーーーヤァー!!」
重太は知りもしない空手のようなカンフーのような型を披露しました。
ワァァァァァァァァーーー!!
東洋人がこういうことをすると、大抵受けてしまうものです。
証書をもらい終えステージ中央まで歩き、ケリーと腕を組みながらステージを降りました。
留学開始時にはもらう気などさらさらなかった卒業証書をなんだかあっけなく獲得できてしまいました。
運よく手に入ってしまった卒業証書、DIPLOMA
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アメリカンスクール卒業 ![]()
1990年6月11日 ★★★
「コングラチュレイションズ!!」
式辞がすべて終わり、卒業生はちかくにいる生徒たちとつぎつぎとハイタッチを繰り返します。
「やったな!」
「卒業だ!」
『仰げば尊し』を歌い、涙を流す日本の卒業式とは最後まで様子がちがっていました。卒業生が体育館の後方へ退場していきます。
「おめでとう!」
「イエーイ!!」
すでに暗くなった体育館の外では卒業生、在校生、父兄、みなが握手し抱き合います。
右も左もわからないで訪れたアメリカの高校で、重太は卒業できてしまいました。
彼にとって卒業式は、アメリカ留学を無事に完了できたという意味で締めのいいイベントとなりました。「卒業、おめでとう!!」
そう叫んで重太は自分のキャップを空高く放り投げました。
映画でよく見かけるシーンをまねしてみました。
ちょっと憧れていたので、卒業式の後に絶対にやってみたかったのです。
「ゲイタァ、うちの高校じゃ、それ、やんないんだよ。」
「…………。 あ、そう。」
『重太』と『アメリカ』という歯車は、どうやら最後までピッタリとは噛み合わなかった様です。
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卒業小旅行 ![]()
1990年6月11日 ★
卒業の興奮さめやらぬまま、卒業式直後の夜10時に卒業生たちは卒業小旅行に出発しました。
学校でチャーターしたバスでシアトルの先の大きな娯楽施設へ行き、オールナイトパーティーをするのです。
学校でこんな粋な企画を用意してくれるとは、なんともイキな計らいです。
そこでは、ラケットボール、アイスホッケー、インドアバレー、ローラースケート、ディスコなどの施設が揃っていました。
「ゲイタァ、インドアバレーやろうぜ!」
「アイスホッケー、おもしろいぞ!!」
「なんか飲まない?」
高校最後の総決算に、共に学び、過ごした面々とここで遊んで、踊って、騒いで、食べて、飲んで…。
「わあぁぁぁーー!!」
「きゃぁぁぁーー!!!」
みんな高校生活最後の瞬間をここぞとばかり思いきり楽しみます。「うおおぉぉぉーーーー!!」
「わはああぁぁぁーー!!!!」
狂ったように一晩中暴れまくりました。
アメリカでの輝いた日々が終わりを告げるように夜はふけていきます。
重太の留学生活もまさに幕が下りようとしているのです。
そして、帰国まであと1週間となりました。
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つかの間の夏休み ![]()
1990年6月 ★
卒業式から帰国日まで、1週間のつかの間の夏休みがありました。
日本に帰れば彼も前にいた高校で3年生に復学、即受験生の仲間入りです。
アメリカで高校を卒業したばかりなのに、復学とは、なんだけ変な話です。
とにかく今は、遊べるうちに遊んでおきましょう。「みんなで海に行こう!」
「隣町のショッピングモールに行かない?」
「夜、一緒に食事しようよ!!」
学業から離れ、最初で最後の自由なアメリカンライフを10ヶ月の間に巡り合えた友達と共に過ごします。
それこそ朝早くから日が暮れるまで、遊び通しました。
「イターリア!!」
「コリーア!!」
「ブラジゥ!!」
テレビでワールドカップイタリア大会をみんなで見たりもしました。
「日本はワールドカップに出てないの?」
「充電中です…。」
エルシーの無邪気で手痛い質問に、そう答えるのが精一杯でした。
アメリカの大学へ行く者、就職するもの、引っ越す者、国に帰る者。
高校を卒業すれば、それぞれの道を歩き出すことになります。
しゃべって、遊んで、食べて、暴れて…。
この瞬間を精一杯楽しもうと、みな必要以上にはしゃいでいる感じもありました。楽しく平和な時間はどんどん過ぎ去っていきました。
そして、別れの時、旅立ちの時が徐々に近付いて来ます。
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卒業編 目次
・卒業記念品 ………Tシャツ、マグカップ、リングなど・卒業記念写真 ………ガウンを着て仲間と記念撮影
・卒業までのカウントダウン ………残り日数を書いた模造紙が講堂にはり出される
・サインちょうだい! ………アニュアルにコメントを書いてもらう
・タイムカプセル ………思い出の品をタイムカプセルにつめる
・すべてをバラマケ! ………すべての授業を終え、ノートをばらまく生徒たち
・極秘任務 ………オークハーバー高校卒業生伝統行事
・名誉協会のピクニック ………名誉協会会員だけのピクニックに参加
・やっぱりよそ者? ………オークハーバー育ちの子供達の歴史をスライドショーで
・そして、卒業式 ………アメリカで華やかに卒業がはじまる
・卒業証書、授与 ………ステージの上で一人一人に手渡される証書
・アメリカンスクール卒業 ………式も終わり、いよいよ憧れのイベントを!
・卒業小旅行 ………高校の友達と最後の大さわぎ
・つかの間の夏休み ………親しい友達と過ごす最後の楽しい時間
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