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カーニバルを見に来たブラジルで『日本人について』 いろいろと考えさせられました。
それは今後の宿題としてずっと残ることでしょう。
いよいよこの旅最大の目的、本場のカーニバルを楽しむ時がやってきました!!

 
[ 1、イントロダクション ][ 2、ブラジルと日本編 ] [ 3、カーニバル編 ]

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 カーニバルとは?
[ サンパウロ ] ★★

Carnaval カルナバウ(=カーニバル)はカトリックのお祭りで『謝肉祭』とも言われます。
19世紀半ばにヨーロッパからブラジルに伝わったとのことです。

キリストが復活する日の前の40日間は肉を断たなければなりません。
「その直前の何日間かをにぎやかにすごそうぜ!」
黒人がアフリカから伝わる音楽をもとにサンバを奏でて、 華やかな衣装をまとい町の大通りを練り歩くようになりました。
これがブラジルのカーニバルの始まりだそうです。

今のブラジルのカーニバルはサンバチームが仮装しパレードをします。
各チームの衣装、パフォーマンス、山車、楽曲などを総合的に競いあう 『コンペティション形式』を大抵とっている様です。
いかに綺麗か、いかに楽しいか、いかに盛り上がったか?
それを競うとなると、否がおうにも派手派手しくなることでしょう。

サンバチームには1チームに数千人もいるところもあるとのこと。
数カ月も前から山車をつくり、楽曲をえらび、衣装も用意して…。
「苦しいこともこれで忘れられる!」
「お姫さまになれる!」
「なかったら生きていけない!!」
ブラジルの人がいかにカーニバルを楽しみにしているか、熱を入れているかが伝わって来ます。

世界的に『リオ・デ・ジャネイロのカーニバル』は有名です。
この時期、カーニバルと言えばリオでしかやっていないような感じすら受けます。
しかし、カーニバルはリオ以外でもブラジル各地で行われているのです。

「バーモス!」(=さぁ、いこう!)
重太は南米最大の都市、サンパウロのカーニバルを見にいくことになりました。

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 カーニバルに行く準備
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★

better not... 「危ないからカメラ持って行かない方がいいよ。」
リサが重太に言いました。
「えぇ〜…。」
せっかく一番の楽しみにしてきたイベントなのに…。
残念ですが身の安全が第一です。

この時期はみな、カーニバルで浮かれていて何が起きても不思議でない、と言うことです。
金目のモノをもっていたら、襲われる原因になりかねないとのこと。
日本から来た友達の身の安全を考えたらリサがこう言うのも無理ありません。

「危ないからサンパウロFC(=サッカーチーム)のユニフォームは着て行かない方がいいよ。」
リサが重太に言いました。
「えぇ〜…。」
せっかくブラジルで味わうカーニバルのために、と買ったのに…。
残念ですがとにかく身の安全が第一です。

「他のチームのファンもいるからな。 着て行くならセレソン(=ブラジル代表)の ユニフォームの方がいいんじゃない?」
アツの言う通りかも知れません。
セレソンのユニフォームは持っていないので、結局、普段通りのTシャツに短パン姿でカーニバルに行くことにしました。

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 いよいよカーニバルへ!
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★

夜9:00ころ、カーニバルは始まるようです。
「早めに会場に行って開始前の様子もちょっと見たいな!」
「OK!!」
重太の要求にリサは気持ちのいい返事をくれました。

重太たちが会場周辺についた時、時計の針は何故か9:00を過ぎていました。
ブラジル式にゆっくり夕食を食べていたのが直接で唯一の原因でしょう。

「駐車場にどうやって行ったらいいんだろう…。」
カーニバルの会場である客席(=スタンド)はさっきから視界に入っているのに、なかなか駐車場へたどりつけません。

Carnaval stadium 「さ、ついたわよ!!」
駐車場へたどり着いたのは、9:30を過ぎた頃でした。
ラテンの国では、これくらいの遅刻は日常茶飯事です。

「………。」
今さら、全然驚いたりしません…。
全然…。

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 遠くなる入り口
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★

agua... 「オリャ! ア アグア、
 エ ア セルベッサ、
 ベム ジェラジーニャ、
 ソ ウム ヘアウ!!」

駐車場で車をとめ、スタンドに向かう途中で、売り子さんが軽快なリズムで叫んでいます。

「あれ、なんて言ってンの?」
耳に残るリズムと低く渋い声に惹かれた重太はリサに意味を聞きました。

『「さぁさぁ! 水、
 それと ビール、
 良く 冷えてるよ、
 どれも たったの 1レアルだ!」
って意味よ。』
軽快なラテンのリズムにあわせて商売をしているその姿。
なんとも魅力的です。

「オリャ! アグア、イ セルベッサ、ベム…。」
「オリャ! アグア、イ …。」
「オリャ! アグア…。」
売り子の歌が気に入った重太はそれを連呼しながらスタンドの入り口を目指します。

「入り口はどこなんだろうね?」
スタンドの目の前にいるのに、まだ本場のカーニバルを味わえていない、お預け状態が続きます。

ワアアアアアァァァァーーーーー…………

観客用のスタンドの中から大歓声が聞こえて来ます。

「はやく見たいぃぃ!!」
柵の向こうには一直線に延々とのびるスタンドがすぐ見えているのに、 何故か、なかなか入り口へたどり着けません…。

「オリャ! アグア…。」
一度覚えた歌はなかなか頭から離れません。
入り口を探すリサについて行きながら、ついついこの歌を口ずさんでしまいます。

「入り口、ないねぇ…。」
地元のリサすらわからない入り口。
1秒でも早くカーニバルを見たいのに、なかなか中へ入れません…。

「オリャ! アグア…。」
この歌は歌うごとに入り口が遠くなっていく気すらしてきます。

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 いよいよスタンドへ!
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★★

やっとのことで入り口を見つけ、スタンドへ入りました。
「やっほう!!」
本場のカーニバルに来れたことが嬉しくて仕方ありません。
「15へアイス(=3750円)もするチケットを 無駄にしなくてすんだ!!」
永遠に入り口が見つからず、このまま帰る事になるのでは、と思っていたので、うれしさも一潮です!

開始時間はとっくに過ぎているはずなのに、何故かまだカーニバルははじまっていませんでした。
ワアアアァァーーー……
しかし、スタンドはすでに人で溢れかえり、ものすごい熱気でふくれ上がっています。
熱気というか、殺気と言うか、ある種、異様な雰囲気がそこにあったのです。
「………よかったぁ…。」
カメラを置いて来たのも、サンパウロFCのシャツも着て来なかったのも正解でした…。

少し階段を上がり、全体を見渡せる場所を陣取りました。
「…へぇ、こうなってるんだ。」
目の前にはカーニバル専用のまっすぐな道が1km程あります。
そこでサンバチームが派手やかなパレードを行うのでしょう。

shinbun その両脇にスポーツやF1観戦をするような段々式のスタンドがずぅーっとまっすぐ続いているのです。
まるでサーキットのメインスタンドのような立派なカーニバルスタンドがそこにあったのでした。
イグアペで見たカーニバルは町の中をサンバチームがパレードしていましたが、 大都市サンパウロではこう言った専用のカーニバル場が設けられている様です。

「…ここがこうなって、あそこに建物があって…。」
カメラを持って来れなかったので、新聞のハジっこに重太は一生懸命 向いのスタンドの様子をボールペンでスケッチし始めました。
「カメラなんていらないじゃない…。」
横でリサが感心しながら重太の『速記イラスト』を見ていました。

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 カーニバルスタート!!
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★★★★

start ♪アレグリア ケ パッサ〜〜〜〜ル…
男性がひとり、マイクで静かに歌い始めました。

 :
 :
 :
 :
シーン…。
短いフレーズを歌い終わると、場内に一瞬、静寂が流れます。

 :
 :
 :
ズンドゴ、ズンドゴ、ズンドゴ…。
一瞬の静寂の直後、バテリア(打楽器)の陽気で軽快なリズムがなり始まりました。

ワアアアアアァァァァーーーーー…………
カーニバルがいよいよ始まりました!!
スタンドの人たちもリズムにあわせ踊りだします!

「…カーニバル、…今、始まったの?」
「そうよ! 楽しみましょう〜!」
開始予定時刻より30分以上も遅れて来たのに、どうやらスタートに間に合ってしまいました。
さすがラテンの国、これくらいの遅れは『いつものこと』みたいです。
遅刻常習犯の人にお勧めの国かもしれません。

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 これがカーニバルだ!!
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★★★★★

samba girls ♪ アレグリ〜ア! エ カルナバーウ!!
♪ バイ ブリアル ナ パッサレ〜ラ コロ インペリア〜ル!

重太のいる位置の向かって遥か右奥がどうやらカーニバルのスタート地点の様です。
その周辺で派手な衣装を着て踊っている一団がかすかに見えます。

遠くから陽気なリズムにのってハデな衣装の一団がゆっくりとゆっくりと近付いて来ます。
大きな山車も見えます。
自分たちのサンバを繰り返し歌いながら、足を素早く動かすサンバのステップで楽しそうに踊っています。

「うわぁ…。」
目の前にきたサンバチームの衣装のきらびやかなことといったら…!

赤、青、 緑、黄色
原色をふんだんにつかった明るい衣装。

頭や背中には、クジャク顔負けの羽飾り。
マスクをしたり、マントをつけたり、角のついた頭飾りをつけたり…。

とにかく派手の一言につきます。
これに対抗できる日本人は、紅白の小林幸子ただ一人くらいでしょう。

「うほっ!! いいねぇ!!」
何も身につけていないような衣装の女性がたくさんいます。
「どう! 見て! 見て!!」
「すごいでしょ?」
と言わんばかりにナイスバディーを惜し気もなく披露してくれます。

裸同前のナイスバディーの美女軍団。
あっちにも美女、こっちにも美女。
「いいねぇ! いいねぇ!!」
どこから見ればいいのやら、本当に困ってしまいます!!

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 2つの山車
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★★

samba girls 素晴らしい美女たちについつい目を奪われてしまいますが、 ついでに山車の豪華さにも目を奪われます。
神々を表現したもの、巨大なワシ、宮殿…。
各サンバチームはテーマに沿って様々な形の山車を作ります。

「94年、ブラジルには大きなことが2つ起こったの。」
山車をみてリサが言いました。
「1つは94年ワールドカップブラジル優勝。ワールドカップをデザインした山車がいっぱいあるでしょ?」
「たしかに金色のカップがいっぱいあるね。」
ブラジルが世界に誇るスポーツ、サッカー。
4度目の世界チャンピオンになったことは、国民全員が喜ぶ特大級のものです。
お祭りを盛り上げるネタとして、これ以上のものはありません!

「もう1つはセナが死んじゃった事…。」
ブラジルの英雄=アイルトン・セナを追悼した山車も多くありました。

「一つは国民全体が喜ぶ大きなこと。もう一つはみんなが悲しむ大きなことだったの…。」
日本だったら悲しい出来事はしめやかに扱うものなのに…。
ブラジルでは喜びも悲しみも全てカーニバルを盛り上げる要素の一つになってしまう様です。


ブラジルの英雄、F1界のスーパースター、アイルトン・セナは 1994年、サンマリノGPレース中の事故で亡くなりました。

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 まだまだ続くカーニバル!!
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★★★

samba!! 一つのサンバチームが通り過ぎました。
「いやぁ、楽しかった!」
「すっげぇー盛り上がるなぁ!」
「レガーウ!(かっこいいねぇ!)」
重太もアツもリサも、みんな大興奮状態です。

♪ エプロ ソ マイエ〜 レ〜〜〜〜〜〜ッゴ〜〜…。
間もなく、男性がひとり、マイクで静かに歌い始めました。
「…え?!」
「また?」
サンバチームは1つだけではありません!
これからもどんどん別のチームが登場するのです!

 :
 :
シーン…。
短いフレーズを歌い終わると、場内に一瞬、静寂が流れます。

 :
 :
ズンドゴ、ズンドゴ、ズンドゴ…。

次のサンバチームのパレードが始まりました!
ワアアアァァーーー………
そう、カーニバルはまだ始まったばかりです。

ズンドゴ、ズンドゴ、ズンドゴ…。

どのサンバチームも基本的に同じビートでやってきます。
歌詞はどれも違うようですが、もちろん重太にはわかりません。
「うおおぉぉぉぉ!!」
ノリがよく、盛り上がる分には、そんなことお構い無しです。

ズンドゴ、ズンドゴ、ズンドゴ…。
バテリア(打楽器)の小刻みに刻むリズムに耳を奪われ、体が勝手に動いてしまいます。
チャンチャカ、チャンチャカ、チャンチャカ…。
カバキーニョ(小さな弦楽器)のすばやく軽快な演奏もなかなかです。

ズンドゴ、ズンドゴ、ズンドゴ…。
「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!」
この場にいるだけで、テンションはどんどん上がっていきます。
その場で飛び跳ね、足を小刻みにうごかし、サンバ気分を満喫です!
こころなしか、サンバをメチャクチャうまく踊れている気になってきます。
もちろん、その気になっているだけなのですが…。

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 なるほど・ザ・ワールド!
[ サンパウロ ] 1995年2月28日 ★★★★

ズンドゴ、ズンドゴ、ズンドゴ…。
カーニバルは凄い盛り上がりのまま、延々と続きます。
「ん? なんだ、あの横断幕は?」
アツが遠くから来る山車の最前列にかかげられた横断幕を見つけました。

「な… る… ほ… ど… ザ… 春… の…、 …。」
「!! ということは!!」
フジテレビのクイズ番組、『なるほど・ザ・春の祭典スペシャル』が撮影のため、 サンパウロのカーニバルを取材しに来ていたのでした。

「うおおぉぉ!」
同じ日本からブラジルのカーニバルに来たヤカラがいるなんて!
しかも、それがテレビ局!
テンションはさらに上がります!

marusia? 「あれ、マルシアじゃない?!」
そのサンバチームの山車でブラジル出身のタレント、マルシアが踊っているのを発見しました!
「マルシア−!!」
「マルシアぁ〜〜!!!」
何度も大声で叫びましたが、この大音響、大歓声の中、重太の声がマルシアに届くはずもありません。
「振り返りもしないで、お高くとまりやがって…!」
多分、マルシアに悪気はなかったと思います。

一つのチームが通り過ぎ、また次のチームがきて…。
こうして、サンパウロのスタンドではパウリスタ(サンパウロ人)たちが一晩中、サンバのリズムで 踊り明かすのでした。

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 インディアンスケジュール その1
[ サンパウロ ] 1995年3月1日 ★★

ズンドゴ、ズンドゴ、ズンドゴ…。

午前1:00を過ぎました。
カーニバルはまだまだ続きます。

「いい所に連れて行ってあげるよ!」
重太たちはカーニバルを途中で切り上げ、サンパウロ郊外のエジモンの友達の別荘へ向かいました。
ブラジル滞在時間が残りわずかとなり、カレンたちがまだ見せていないブラジルを満喫してもらおうと、 お楽しみプランを色々と用意をしてくれていたのです。
もう少しカーニバルの熱気を感じていたいのですが、友達のプランも楽しみなところです。

night rider 午前、2:30。
重太、アツ、カレン、エジモンらはカレンの家を出発しました。
「こりゃ、寝る暇もないね。」
「こーゆう忙しいのを『インディアン スケジュール』っていうんだよ!!」
「…ふーん、何で?」
「さぁ…。」
何故か理由はわかりませんでしたが、そういうらしいです。

「寝てていいよ。」
「…う、うん…。」
高速を飛ばすこと2時間。
街灯もない林の中のジャリ道を迷うことを30分。

「………うーーん…。」
重太の意識もあるんだか、ないんだか。
どこをどう走ったかまったく健闘もつかない状態で一行は別荘に到着しました。

「こんちは! 遅かったなぁ!」
別荘の主でありエジモンの友達、ロベルトが現れました。
「…初めまして、…おやすみなさい。」
挨拶と同時に重太は朽ち果てました。
なんとも失礼な初対面です…。
その日、それ以降の記憶は定かではありません…。

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 インディアンスケジュール その2
[ サンパウロ ] 1995年3月1日 ★★

「………う…、…ん…??」
朝、9:00。
重太は自分がどこにいるのか、良くわかりませんでした。
晴れた窓の外に目をやると、森に囲まれた一角の牧場みたいな所にいるようでした。

「………???」
まったく見なれない景色です。
目の前にはプールがあり、そこでカレンが泳いでいました。

「おはよう! よく眠れた?」
そうです!!
昨晩、カーニバルの後、エジモン、カレンにつれられ、サンパウロ郊外に来ていたのでした。
景色が見なれないのも当然、昨晩はもう真っ暗でどんな所に来たのか わからないまま、重太は力尽きたのでした。

noon rider 青空の下、外でみんなで朝食を食べます。
その後、プールでゆったりと水浴びをしました。
大自然に囲まれ、静かで優雅な時が流れます。

「……のどかでいいなぁ。」
「さ、サンパウロに戻ろう!」
「…へ!??」

重太とアツのブラジル滞在時間も残りあとわずかです。
その時間を少したりとも無駄にすまい、とあっという間にサンパウロにトンボ帰りです。
なんだか『超売れっ子芸能人』状態で別荘を後にする事になりました。

別荘の主、ロベルトも用事があるということで、一緒にサンパウロを目指します。
「どう? ブラジルの別荘を楽しんだ?」
「…う、うん…。」
緑に囲まれ空気のおいしい場所でリラックスできましたが、ここまで慌ただしいのも考えものです。

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 スピード違反
[ サンパウロ ] 1995年3月1日 ★★★★

「これならあっという間にサンパウロに着くぞ!」
エジモンが時速180km以上を出し、高速をかっ飛ばします。
みるみるサンパウロが近付いて来ました。

「まずい!!」
急にエジモンが舌打ちしました。
「え? え? どうしたの??」
後ろを振り返るとパトカーが元気にサイレンをならして近付いてくるではありませんか!!

…………。
運悪く、スピード違反で捕まってしまいました…。
時間節約にと猛スピードを出したら、かえって時間のかかる事態に陥ってしまったのです…。

「…ちょっと待っててくれ。」
ロベルトが、何やら警察官とはなしを始めました。

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数分後。
ロベルトとエジモンが戻って来ました。
「よし、行こう。」
「え? もう、いいの?」
「ああ。」
ロベルトは余裕顔です。
「これで、罰金も減点もなし!」
エジモンもニコニコ顔です。
何事もなかったかのように車は走り出しました。
二人は一体どんな魔法を使ったのでしょう?

「何を話したの?」
「いやね、『うちの父親は政治家で…』、ってちょっと話してね…」
ロベルトが身分証を見せ説明し始めます。
「そしたらよく分かってくれたよ。」
「レガーウ!(=かっこいい!)」
「……まじかよ!」
重太もアツもこれにはびっくりです。

「…強力なコネがバックにいるっていいなぁ…。」
そんな友達、いつでも募集中です。

その後一行は、何のトラブルもなく、ものすごいスピードでサンパウロに戻って来ることが出来ました。
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 シュハスコ Churrasco
[ サンパウロ ] 1995年3月1日 ★★★★★

churrasco 約2週間滞在したブラジルでの最後の夜がやって来てしまいました。
「最後の夜は盛大にやりましょう!」
リサ一家とシュハスコを食べにサンパウロ市内の高級レストランに行きました。

『シュハスコ』とは、日本では『シュラスコ』でお馴染み(?)のブラジルの肉料理です。
長い鉄の串に牛や豚、とり肉をさして岩塩をぬり、炭火のまわりでじっくり焼きあげます。
「牛のヒレ肉です。」
「腸詰めです。」
「ビフェ・アージェンチーノです。」
ガルソン(=ウェイター)が次々とテーブルまで肉を串にさした状態で持って来ます。
その肉を食べたい場合はその場で切ってもらい、皿にわけてもらいます。

顔の真横で肉の固まりを大きなナイフでスライスしてもらうのは、なんだか気分が落ち着きません。
「う! 耳を切られた!」
お決まりの冗談をかますと、場内大爆笑です。

別のガルソンが見慣れない肉をもってテーブルにやって来ました。
「クッピンです。」
「…なんだ、それ?」
リサに英語で説明してもらっても、それが何の肉かよくわかりません。
「わかんねーけど、うまそーだから食べてみるか。」
「…ああ。」
アツも重太もおそるおそるクッピンたる肉を口に運んでみました。

kuppin 「うまいぃーー!!!!」
「とろけるぅー!!」
クッピンとはコブ牛の背コプ肉のことで、脂肪と肉だけの柔らかい部分のことです。

「すいません、クッピン下さい!」
「クッピン下さい!」
「クッピン、クッピン!!」
この肉のうまさにハマってしまった二人はクッピンを頼み続けました。

「いやぁ、腹一杯食った!」
「すいません、ご馳走様です…。」
「ご馳走様です! ありがとう、リサ!」
結局、ブラジル最後の夜ということで、リサファミリーにおごってもらっちゃいました。

ブラジルに来てからいつもずっとこんな調子でした。
…そういえば、よく考えると、ブラジルでお金を使った記憶が殆どありません…。

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 懐かしき留学時代
[ サンパウロ ] 1995年3月1日 ★

シュハスコでお腹を満たし、リサ宅に戻りました。
「シゲチャン、これ覚えてる?」
「うわぁ、懐かしい!!」
リサが共に過ごした
アメリカ留学時代の写真を見せてくれました。


(重太とリサは89年から1年間、アメリカで同じ高校に通っていました。)


「ああ! これはワールドプロブレムのクラスのミスターディクソンと撮った写真だ!」
「こっちは、ホームカミングの時の写真だよ。」
「あ! スピーチのクラスだ!」
「これはハロウィンの時。」
「あ、これ、一緒にシアトルにバスで行った時のだ!!」
「これは卒業直前の。」
「うぁー、懐かしいなぁ…。」
懐かしい日々の思い出が写真と共に蘇って来ます。

「あれ、これは何の写真?」
「シゲチャンや美術クラスの人たちが描いた絵を学校内で売ってたじゃない! 覚えてないの?」
「…そんなこと、あったっけ?」
重太が覚えていないことをリサは事細かに良く覚えています。
「そういや、俺が描いたこの絵、手元にないもんな…。 誰かに売ったような気がして来た。」
その絵は今も行方不明です。
重太が有名になった暁にはものすごい価値がでることでしょう。

同じ留学仲間と言うことでよく行動を共にしたため、写真にも一緒によく写っています。
中には重太が持っていない写真がありました。

「ねぇ、この写真を焼き増しして送ってよ!」
「いいわよ。」
その写真は7年たった2002年になっても、まだ届いていません。

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 御招待
[ サンパウロ ] 1995年3月2日 ★★

ブラジルで宿を提供してくれたカレン、そしてリサ。
何度も昼飯を食べさせてくれたエジモンとササキさん家族。
お陰様でアツも重太も財布が全然ダイエットしませんでした。

他にも、日本人だけでは行けないような場所にカレンもリサもエジモンも車に乗せて連れて行ってくれました。
何にも変え難い貴重な経験を遠きブラジルの地にいる友達のおかげでたくさん出来ました。

「最後の昼飯くらい、おれらで御招待しようぜ。」
「その意見に一票!!」
満場一致でお世話になった方々を昼食会へ御招待することになりました。

「みんな、いろいろオブリガード(=ありがとう)ね!!」
バイアーノ料理屋でみんなへのせめてものお礼をアツと重人はしました。

「本当に今日、帰っちゃうの?」
「もう一週間くらい滞在を延ばせないの?」
エジモンもカレンもリサも皆、泣かせることを言ってくれます。
まったく、なんと気前のよく、温かい人たちなのでしょう!
あれだけ色々お世話してくれた上に、もっとブラジルにとどまるように言ってくれるなんて!

思いっきりお言葉に甘えたいところですが、そうもいきません。
この後、大学卒業旅行の後半、アメリカ東海岸の旅が残っているからです。

「ものすごぉ〜く、そうしたいんだけど…。」
残念で仕方ありませんが、ブラジルを予定通り去らなくてはなりません…。

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 最後の買い物
[ サンパウロ ] 1995年3月2日 ★

ブラジルで出会った友達との最後の昼食を終え、最後のショッピングへ出かけます。
 ●イグアペに行く時、車中で聞いて気に入った『トキーニョ』というミュージシャンのCD
 ●4月から社会人なので、ブラジルっぽくて会社にもしていけるネクタイ
 ●カレンのオフィスにあった螺旋型をしたメモ帳

買い物に行く度、これらに的を絞って探して来ましたが、 重太は欲しがるものは何故かどこにもありません。

coco 「残念だったね。」
「…うん。 もう、いいよ…。」
次のショッピングモールに行く時間もないので、買い物は諦めることにしました。

「じゃ、ジュースでも飲んで行く?」
「…うん!」
ココナッツ好きな重太は、ココナッツシェイクを頼みました。
「……うわ!」
出て来たシェイクは、高さが30cmはあろうかというバカでかいものでした。
出発前の一時、軽くココナッツの味を楽しめればよかったのですが…。

「…の、飲み切れねぇ…。」
最後までブラジルの食べ物のスケールのでかさに驚かされ続けました。

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 空港にて
[ サンパウロ ] 1995年3月2日 ★★

「いろいろありがとうございました。」
「また遊びにいらしてね。」
ブラジル最終日の夕方、お世話になったリサのご両親に挨拶をし、キノシタ家をあとにしました。

空港で手早くチェックインを済ませ、ボーディングタイムを待ちます。
「ブラジルはどうだった?」
「楽しかったから、あっという間だったよ!!」
リサの質問に重太は素直に答えました。

good bye1 ブラジルへはカーニバルを見に来たつもりでした。
しかし、それだけでなく、ブラジル人の生活、食べもの、飲み物、町の様子など色々なものに接する事が出来ました。
日本語が通じ、英語も使え、徐々にポルトガル語も学び、新しい世界をここにもたくさん見つけました。
遠い国で触れる日本は重太に色々な思いを与えました。
楽しかったこと、びっくりしたこと、考えさせられたこと。
色々あった旅でした。

ブラジルにはまだ数日しかいないのに、何年分もの経験をした様な、ものすごく充実した日々でした。

「シ ゲ タ! ア ツ!」
「みんな!!!」
なんとエジモン、カレン、ロベルトらが空港まで見送りに来てくれたのです。
本当に、もう、まったく、なんといい人たちなのでしょう!
あれだけ色々お世話してくれた上に、最後は空港に見送りにまで来てくれるなんて!
なんだか最後までVIP待遇を受けている気分にしてくれます。

「ありがとう! ありがと!」
温かい人々にふれたこのブラジルの旅は生涯忘れられないものとなったでした。

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 カーテンコール
[ サンパウロ ] 1995年3月2日 ★★★

ボーディングの時間まで、みんなで空港の喫茶室で軽い夕食をしました。
「そろそろ行かなくちゃ…。」
いよいよ旅立ちの時間が来てしまいました。

「元気でね。」
最後にひとり一人としっかりと抱き合い、別れを惜しみます。

「カレン。いろいろありがとう。」
3ヶ月前、リサと一緒に来日したカレン。
その時初めて出会い、一緒に横浜や東京を観光しました。
ここサンパウロでは、買い物に付き合ってくれたり、食事につれて行ってくれた頼もしいアネキ的存在です。

「エジモン。いろいろ楽しかったよ!」
リサ、カレンと共に来日したエジモン。
ほがらかで、陽気な彼のおかげでサンパウロ滞在も楽しいものになりました。
何度も腹一杯にお昼を御馳走してくれたのを忘れる事は出来ないでしょう。

「リサ。ホントにありがとね。」
彼女がいなければ、ブラジルに来るなんて事は一生なかったかも知れません。
彼女と本場でみたカーニバルは何にも変え難い貴重でエキサイティングな体験でした。

「みんな…。ムイント オブリガード!」(=どうもありがとう!)
もてなし上手なブラジルの人たちには感謝の言葉もありません。

「じゃ…。」
手を振りながら、係りの人に搭乗券を見せ、手荷物チェックを受けます。
金属探知ゲートをくぐり、後ろをふりかえると、 ブラジルの素晴らしい友達とシゲタたちは大きなガラスに隔てられてしまいました。
もう言葉は聞こえません。

「ばいばぁ〜い!」
「げんきでねぇ〜!」
さかんに手を振り最後の瞬間まで別れを惜しみます。
「じゃぁ〜ねぇ〜!」
いつまで経っても、誰も手を振るのをやめません。

good bye2 「…これじゃ、キリがないな。」
「…。 よし! じゃ、カーテンコール、やろうぜ!」
「!!! その意見に一票!!」
満場一致で可決です。

重太とアツは手をとりあって、高くあげました。
「???」
ガラスの向こうでみんなは不思議顔をしています。
その後、二人で深々と頭を下げました。
舞台が終わった役者さんたちの様に!

ガラスの向こうにいる友達に大ウケです。
「じゃ、行こか…。」
二人は搭乗ゲートを目指し、みんなに手を振りながら歩き続けました。

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楽しかったブラジル、サンパウロでの日々も、よき友達のおかげであっという間に過ぎ去ってしまいました。
1995年、3月、重太はサンパウロを後にします。

 :
 :
 :
 :

そして、6年半後の2001年 9月。
重太は1年をかけた世界一周の旅路で、再びサンパウロの地を踏む事になります。

リサやカレンとの再会。
新しい友達との出会い…。
様々な出来事と別れ…。
その詳しいエピソードはまた、いずれ…。
(ダイジェスト版は ゲイターをさがせ! を御覧下さい。)

次は、卒業旅行の後半、〜アメリカ東海岸編〜です。

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 ブラジル95 [3、カーニバル編] 目次 

カーニバルへとは ………カーニバルについて

カーニバルへ行く準備 ………身の安全が第一!

いよいよカーニバルへ! ………準備をして会場を目指す

遠くなる入り口 ………売り子さんの面白い掛け声

いよいよスタンドへ! ………盛り上がるスタンドに足を踏み入れる!

カーニバルスタート!! ………そして、カーニバルはスタート!!

これがカーニバルだ!! ………本場のカーニバルを生で体験

2つの山車 ………ワールドカップ優勝とセナ追悼

まだまだ続くカーニバル!! ………延々と続くパレード

なるほど・ザ・ワールド! ………意外なイベントに遭遇

インディアンスケジュール その1 ………深夜過ぎ、郊外の別荘へ

インディアンスケジュール その2 ………昼過ぎ、サンパウロへトンボ返り

スピード違反 ………高速を180kmでぶっ飛ばしていたら…

シュハスコ Churrasco ………最後の晩さんは豪華に肉料理で

懐かしき留学時代 ………最後の夜、リサの部屋で昔の写真を

御招待 ………お世話になった友達を昼食会に招待

最後の買い物 ………ブラジル土産を求めて

空港にて ………数日間のブラジル滞在を思い返す

カーテンコール ………いよいよブラジルをあとにする時が

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(c)2000 GC_Factory 背景: カーニバルの風景 

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