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イタリアでの滞在もあっという間に1ヶ月が過ぎました。
イタリア放浪の終盤は、イタリア北部の町、ヴェネツィアから始まります。

     
[ 1、シエナとパリオ ] [ 2、シエナでの日々 ] [ 3、シエナ周辺 ]
[ 4、イタリア放浪1 ][ 5、イタリア放浪2 ][ 6、イタリア放浪3 ]

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 ヴェネツィアへ
1993年9月1日 [ラヴェンナ → ヴェネツィア] ★★★

昨晩の雷まじりの大雨がウソのように晴れ上がりました。
重太は朝早くラヴェンナを発ち、水の都=ヴェネツィアを目指します。

列車は、イタリアの平原や町中を走り抜けて行きます。
「すっげぇぇ!」
突然、列車は海の上を走り始めました。
ヴェネツィア・サンタルチア駅までの長い長ーい一直線の橋を渡って行きます。
これから訪れる水の都への期待感が一気に膨れ上がる瞬間でした。

そして数分後、列車はサンタルチア駅に到着しました。
駅を出て、まわりを見回してみます。
「うぉぉぉ!」
大きな川が目の前を流れ、ゴンドラやちょっと大きめな水上バスなど、色々な船が行き来しています。
バスや車などは1台も走っていません。
今まで訪れたどのイタリアの都市とも雰囲気がまるで違います。

「インパクトあるなぁ…。」
まだ入り口に来ただけなのに、この運河の町に早くも魅せられてしまいました。

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 大運河くだり
1993年9月2日 [ヴェネツィア] ★★

ヴァポレット(水上バス)は大勢の観光客をのせ、駅前の停留所から静かに進み始めました。

普通の町で言う「道路」がここでは全て「水路」となっています。
縦横無尽にはしる水路を行き来するには、車やバスのかわりに船が必要です。

どの建物の入り口にも、赤いテープがななめに巻かれた白いポールが数本立っています。
船が停泊しやすいように施された、運河の町ならではの光景です。

細い路地の入り口の壁に、「侵入禁止」の標識が発っています。
信号こそありませんが、水の上でもやはり交通ルールは普通の道路と同様にあるようです。

realto 「ぽりつぃあ(=POLIZIA)」と船体に書かれた青い船とすれ違いました。
パトカーもこの町では船でないと役に立たない様です。
もっともパトカーでは無く、「パトボート」と呼んだ方が適切かもしれません。

仲のよさそうなカップが乗った観光客用の真っ黒いゴンドラも運河で見かけました。
旅情たっぷりのこの町で愛する二人にゴンドラは絶好の乗り物です。
バックパッカーの男がひとりで乗るのは、かなりの勇気がいりそうですが…。

船が右へ曲がるといくつものアーチが連なった白い橋をくぐりました。
リアルト橋です。
長さ48m、幅22mある大理石の橋です。
この橋の上にはみやげ物屋や、八百屋さんなどがびっしり軒を列ねています。

木製のアカデミア橋をくぐり、少し進むと海が開けます。
そして、その左側に有名なサンマルコ広場がありました。

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 サンマルコ広場周辺
1993年9月2日 [ヴェネツィア] ★★

ヴェネツィアの観光の中心地、サンマルコ広場に着きました。
「ほぅ……。」
鳩やお土産や、そして、多くの観光客。
さすが世界的に有名な観光地、という感じです。

from tower まず、大鐘楼にのぼり町を一望してみました。
「きれいな町並みだなぁ…。」
どの方向を向いても絵葉書に出来てしまいそうな景色です。
重太はフィルムが足りなくなるくらい、シャッターを切りまくりました。

続いて、大鐘楼を出て左手にある、時計塔の聖母像の両側に小さなトビラがあります。
このトビラはキリスト昇天祭の時にだけ、開くように作られているとのことです。
「2度と同じものをつくれないように」
複雑な時計塔を作った職人たちの目はえぐられたそうです…。

サンマルコ寺院を見学しました。
ビサンティン様式と言う東洋風の外観を持つこの寺院。
「正面の5つのアーチが美しい」とガイドブックにあります。
「……見えねぇじゃねーか…!」
当時改修工事中で、左2つのアーチを見ることが出来ませんでした…。

内部のモザイク画もまた目を見張るものがありました。
金ピカのタイルが院内を一層まぶしく照らしだします。

tameiki 「うわぁぁ…。」
サンマルコ寺院のお隣、ドゥカーレ宮内、「大評議員会の間」で重太はまた驚かされます。
そこには、壁一面に描かれた世界最大の油絵があったからです。
「完成まで何年かかったんだ?」
「よくデッサンが狂わないな。」
横22m、高さ7mのどでかい絵には、驚きと疑問の連続でした。

続いて「溜め息の橋」を渡りました。
宮殿から牢獄に通じているこの暗く狭く小さな橋の名前は、 『囚人が2度と拝めないかも知れない美しい外界を眺め、溜め息をついた』ということから来ているそうです。
橋の装飾が施された小さな窓からは、小さな島の上にそびえるサンジョルジョ・マッジョーレ教会が見えました。
美しいこの景色を2度と見れないとなると、確かに自然と溜め息をついてしまいそうです。

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 ヴェネツィア散策
1993年9月1日 [ヴェネツィア] ★

「コニチハ!!」
「溜め息の橋」から見えたサンジョルジョ・マッジョーレ教会では、神父さんに日本語で話し掛けられました。
日本人観光客が多いからなのでしょうが、なんともサービス満点の教会です。

「めぬ・とぅーりすてぃこ」という旅行者用メニューがあることをここヴェネツィアで初めて発見しました。
前菜、第1の皿、第2の皿、デザートがセットになって、お手ごろの価格が設定されているものです。
一人で旅行をしていると、レストランでの食事がなんとも寂しいものです。
「サンドウィッチでいいか…。」
と食事をバールで簡単に済ませてしまうこともありました。
しかし、これでちょっとだけレストランに入りやすくなりました。

日中はガイドブックを見ずに、気の向くまま、足の向くまま水の都を歩きました。
クネクネまがったせまい路地が自分をどこへ誘ってくれるのか、ワクワクしてしまいます。

あちこちにあるみやげ物屋では、カーニバル用の色とりどりのマスクが飾られています。
「目的も無く店を覗いてみるものおもしろいなぁ…。」
重太は旅の楽しみ方を、ここで色々と発見できたようです。

夕食も「めぬ・とぅーりすてぃこ」で済ませました。
♪〜〜〜〜〜〜〜〜
軽くワインなどもたしなみ、ホロ酔い気分で町を歩いていると、夜風に乗ってフルートとギターの演奏が聞こえて来ました。
大きな銅像の前に自然と観光客が集まり、その静かな演奏に耳を傾けていました。
「いいねぇ………。」
雰囲気は最高です。
涼しい夜風、座って聞いているだけで夢見心地でした。
重太はひとり寂しく旅情にひたっていました。

雰囲気のいい夏のヴェネツィアの夜、調子にのってぶらぶら散歩を続けました。
「…そろそろユース・ホステルに戻るか。」
寝床のあるユースは別の島にあります。
そこへ行く水上バス8番線の「終電」ならぬ「終船」がすでに終わっていると気付くまで、それほど時間は必要ありませんでした。

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 ヴァポレットの旅
1993年9月2日 [ヴェネツィア] ★★★

「8番線と82番線は同じ路線だよ。」
水上タクシー乗り場でおじさんに教えてもらい、82番線に乗って昨晩はなんとかユースに戻ることが出来ました。
「あぶなかったぁ…。」
路線図や最終船の時間を知らずに動き回ることの危険性を、重太は身を持って知りました。


翌日。
「船に乗って、島を一周してみよう!」
きちんと路線図を確認してから、サンマルコ広場から5番線に乗りました。

Where am I going? スキアヴォーニ埠頭を過ぎ、左折して、造船所の前を通り過ぎます。
「よしよし、順調、順調!」
どうやらうまく島を一周できそうです。
 
たくさんのレガッタが置いてある所も通過しました。
この週末に行われるレガッタレースのための様です。

「………おい!! どこに行くんだよ!!!」
フォンダメンテ・ヌオーヴォを出発した船は、進路を右にとり、どんどん島から離れて行きます。
「…まじかよ…!」
順調かに見えた船旅は、一転して予想外の旅となってしまいました。
路線図をあらかじめ確認しても、うまく行かない時はうまく行かない様です…。

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 ヴェネツィアン・グラスの島へ
1993年9月2日 [ヴェネツィア、ムラーノ島] ★★

「………ここ、どこ?」
たのんでもいないのに重太は『ムラーノ島』たる島へ連れて来られてしまいました…。

「ヴェネチアン グラスの島」とガイドブックには記されています。
来てしまったものは仕方ありません。
とりあえずお得意の目的のない放浪を始めてみました。

この島にも小さな運河があります。
その川沿いの道には小さなガラス工房が軒を列ねていました。
何気なく入ってみたお店では、動物の形をした綺麗なガラス細工や、イヤリング、ペンダントなどが棚に並んでいます。
そこでは、ガラス職人がすぐ横でバーナーを吹かせていろいろな作品を作っていました。

「お土産に何か一つ買おうかな!」
と思いましたが、割れ物を持って移動するのはあまり賢くないと思い断念しました。
買ったものをあげる人がいない…、という大きな問題もあったのも事実です。

ムラーノ島にはガラス博物館があります。
「よく、こんなキレイで細かい作品を作れるよなぁ…。」
ガラスを粘土細工の様に自由自在に曲げ、色をつけた作品。
表面を綺麗に幾何学的に加工した作品。
創造性に富んだ15〜18世紀にかけてのヴェネツィアン・グラス最盛期の作品が多数展示されていました。

イタリアに来てからフレスコ画や彫刻、さらにモザイク画などの芸術品に驚かされてばかりですが、 ここでもまたプロの職人技に驚かされてしまいました。

「面白かった、面白かった!」
予定外で訪れたムラーノ島ですが、素晴らしいヴェネツィアン・グラスを見ることができてラッキーでした。
どうやら、計画通りの旅がいつも最高とは限らない様です。

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 ヴェローナ散策
1993年9月3日 [ヴェネツィア → ヴェローナ] ★

いろいろな旅の発見があったヴェネツィア。
名残り惜しみながら、重太はヴェネツィアを後にしました。
ロンバルディ平原を西へ列車で1時間半、ヴェローナに到着です。

円形劇場、アレーナはローマのコロッセオに似た歴史的建造物です。
中に足を踏み入れてみると、椅子がたくさん並べられ現代的なステージがありました。
オペラの準備をしている様子です。
「……頭イイねぇ…。」
なんともうまい遺跡の再利用方法に脱帽です。

juli カステルヴェッキオ、スカリジェーレ家の廟、ピエトラ橋、ローマ劇場など足早に散策します。
サンゼーノマッジョーレ教会は正面のレリーフが今まで見てきた教会にはない造りをしていました。
「……へぇ。面白いデザイン…。」
柱を支える小人の彫像が多く、これらも北イタリアに来て初めて目にしました。

重太はロミオになったつもりでジュリエッタの家まで歩いて向かいました。
そう、ここはロミオとジュリエッタの町なのです。

劇中で登場するジュリエッタのバルコニーを見学しました。
「……ここがそうか…。」
あまり見栄えのしない、小さなバルコニーがそこにはありました。

そのバルコニーが面している中庭には、直立したジュリエッタの銅像がありました。
その胸をさわると もう一度この場所ヘ来られるといういわれがあり、右の胸だけやけにまぶしく光っています。
「………。」
重太はジュリエッタの胸を触らずその地を去りました。
一人で何も言わず黙々と銅像の女性の胸を撫でまわすには、かなりの勇気が必要だったからです。


「ぽっそ こんぷらーれ うん びりえっと?」(チケットを買えますか?)
タバッキ(町中にあるキオスク)でバス停の場所もがんばってイタリア語でたずね、ヴェローナの駅を目指しました。
今晩はここヴェローナに宿を取るつもりでしたが、とりあえず観光名所は一通り見てしまった様です。
重太は夕方の列車でミラノまで行くことにしました。

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 大都市、ミラノ
1993年9月3日 [ミラノ] ★

夕方6:00。
バカでかいミラノ駅に到着しました。
円筒を半分に切ったようなホーム上部にある屋根は、銀河鉄道999で登場するどこぞやの駅のような感じでした。

「………なんだ? この圧迫感は?」
ミラノはビルが立ち並び、バスや車が所狭しと排気ガスをまき散らし走り去る大都会です。
なんだかアクセクした感じが街全体から伝わって来ました。

重太は、ユース・ホステルにすぐ向かい、近くのレストランで夕食をとり、その日はとっとと寝てしまいました。
大都会特有のプレッシャーを感じ、居心地があまり良くなかったからです。

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 ミラノ散策
1993年9月4日 [ミラノ] ★

「ミラノに行っても見るものは3つしかない。『大聖堂』と『ガレリア』と『スカラ座』だけだ。」
シエナにいる時、アンドレはこんなアドバイスをくれました。
「世界に名だたる大都市、ミラノがそんなわけが無いだろう。」
重太は彼のアドバイスに半信半疑でした。
しかし、本当にアンドレの言う通りでした。

milan 地下鉄を出ると目の前に巨大な大理石の固まりがありました。
『大聖堂』です。
「………うわぁぁぁ!!」
その大きさ、塔の多さ、彫刻の細かさにはとにかく驚かされました。

北側の階段をのぼり、ミラノの町を一望しました。
ビル、ビル、ビル。
高い所が好きな重太もこの景色には殆ど感動しせんでした。

アンドレの言う『ガレリア』とは、『ヴィットリオ・エマヌエレ2世ガレリア』のことです。
ドゥオーモ広場とスカラ広場を結ぶアーケードで、高い天井と数々のブティック、高級レストランがあります。

TV番組『世界の車窓から』で紹介をしていた「タイルに描かれた牛」を発見しました。
テレビで紹介された通りに、この牛のアソコにカカトをつけその場で1回転してみました。
「……で、どうなるんだっけ?」
なんのご利益があるのか、すっかり忘れてしまいました。
あとからきく所によると、子宝に恵まれるとか…。
そんなご利益、今の所いりません…。

オペラで有名なスカラ座、併設されているスカラ座博物館も見学しました。
博物館に展示されていたオペラの衣装、楽譜、その他の小道具はオペラファンにはたまらないものなのでしょう。
しかし、重太には「ネコに小判」でした。

レオナルド・ダ・ヴィンチの有名なフレスコ画、「最後の晩さん」を見にサンタマリア・デレ・グラッツィエ教会にも足を運びました。
「最後の晩さん」は当時修復工事中でしたが、鉄の足場の間から生の絵を少しばかり見ることはできました。
「………。」
本物の「最後の晩さん」は、どこかのカタログで見た印刷物の「最後の晩さん」より色味がなく、はっきりしませんでした。
印刷物の方が実物よりイイなんて…。

ざっざー………
絵を見終えた後、大雨に降られてしまいました。
イタリアに来て1ヶ月以上経ちましたが、雨にふられたのはこれが初めてです。
「…ミラノに嫌われてるのかも……。」

ファッションやブランド品に全く興味のない重太には、ミラノは半日で十分の町でした。

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 心温まる町、コモ
1993年9月4日 [コモ] ★★★★★

数年前、NHK衛星放送のイタリア紹介番組でコモ湖をバックにアナウンサーやゲスト達が番組を進めていました。
スイスアルプスのお膝元、美しく静かな雰囲気の避暑地は、画面からその魅力を放っていました。
「行ってみたいな!」
大雨のミラノから追い出された重太は、すぐさま進路を湖畔の町、コモに向けました。

列車で40分。
先ほどのミラノでの大雨がウソのようにコモは晴れ渡っていました。
「まるで俺を快く迎えてくれているようだ!」
そう勝手に思い込んだ重太は、まずバスでユース・ホステルに向かいました。

「ぼれい あんだーれ あ おすてっろ」(ユースに行きたい)
「オーケー、着いたら教えてあげるから、ここにいな!」
バスの運転手さんはにっこりと微笑んで運転席の横にいるように重太に言いました。

前!! 「よし、着いた。ここだよ。」
「ぐらっつぃえ!」(ありがとう!)
重太はお礼を言ってバスを降りました。
しかし、ぱっとまわりを見回しても、ユース・ホステルらしき建物は見当たりません。

「時間もあるし、のんびり歩いて探すとするか。」
重太は、バスで来た道を戻ろうとしました。
「…………。 ん?」
後ろを振り返ると、今乗って来たバスが発車せずにまだそこいます。
「どうしたんだろう?」
重太が不思議がっていると、バスの中からみんなが重太を見ています。

「前! 前!!」
バスに乗っている人全員がバスの進行方向のやや右前を指差しています。
「ユース・ホステルはあっちだ!!」
みんな、重太に指をさしてユースの場所を教えてくれていたのでした。

「なんていい人たちなんだ!!!」
ミラノで降られた大雨を忘れさせてくれるには十分過ぎる出来事でした。

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 地図にない地を目指して
1993年9月4日 [コモ] ★★★

ユース・ホステルで無事にチェックインを済ませ、コモ探索に出かけます。
町には綺麗な花があちこちに植っていて、とても綺麗です。
静かな町は雰囲気も素朴でとてもいい感じです。
 
ドゥオーモを見てから、登山電車でブルナーテという山の上の町へ行きました。
ここからは手持ちのガイドブックに地図が出ていない未知のエリアです。
「景色がいいところまでこの山を登ってみよう。」
そう決めて、一人で黙々と石畳の坂道を登って行きました。

「次の角でたいした景色じゃなかったら引き返すか。」
「いや、もう少しだけ行ってみよう。」
自分と戦いながら急勾配を一歩一歩進んでいきます。

「やったぁーーー!!!!」
ただ、ひたすら坂道を登ること50分。
山頂らしき場所に灯台を発見しました。
地図にのっていない場所、自分だけの秘密の場所を見つけてしまった気分です!

como 500リラ払って早速灯台に登ってみます。
「うぉぉぉおぉ!!!」
そこでは最高の景色が重太を待っていました。
眼下にコモ湖、そして湖畔の町を一望できます。
駅やユースの位置もおぼろげながら確認できました。
スイス方面にのびるコモ湖の先は山あいのむこうへとずっと続いていました。
視界をあげると、スイスアルプスが眼前まで迫って来ています。

「さむ!!」
しかし、灯台では風がびゅんびゅんふきつけ、涼しいと言うよりは肌寒い状態です。
この1ヶ月、夏のイタリアでずっとTシャツで過ごして来ましたが、 ここで初めて持って来ていたトレーナーを着ることになりました。

日が高いうちに登山電車で下山、あっという間にコモの町に戻って来ました。
「うん びりえっと ぺる ふぁhぉーれ!!」(チケットを1枚下さい。)
ユースに戻るバスのチケットを買う時に話したタバッキのお姉さんは笑顔で応えてくれました。
すごくイイ感じの人です。
バスの運転手、バスの乗客のみなさん、ユースで働いている人。
コモの人は皆いい人たちで、この町全体の印象はかなりいいものとなりました。

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 ジェノバの日曜日
1993年9月5日 [ジェノバ] ★

心を洗われたコモでの滞在を終え、ミラノ経由でジェノバに着きました。
ジェノバと言えば、大航海時代のコロンブスの出身地です。

午後2:00。
シエスタ(お昼ね)の時間なのでしょうか?
日曜日だからでしょうか?
どこもかしこも閉店、人もまばら、車もあまり走っていません。
足早に要所要所を歩き抜けましたが、どこに行っても静かです。
博物館などもしっかりしまっています。
ごみごみした大都会は嫌いですが、人の少ない大都会と言うのもなんだか不気味です。

「………。 シエナに帰るか。」
あまりにもやること、見るものがないため、とっととシエナのアンドレ宅に戻ることにしました。
ジェノバ、そこは素通りしただけの町となってしまいました。

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 地元へ
1993年9月5日 [ジェノバ → シエナ] ★★

「おかえり、シゲェタ! ヴェネツィアはどうだった?」
「あれ? マリッサ!」
シエナ駅ではマリッサが車で重太を迎えに来てくれました。

「アンドレがテスト勉強で忙しいって言うから、代わりに私が来たの。」
「グラッツィエ、マリッサ!」(=ありがとう!)
「プレーゴ。(=どういたしまして。) みんな重太が帰ってくるの、待ってるよ。」
「ほんとに?」
イタリア美女に駅で出迎えてもらうのは、なんともうれしいものです。

「おぉぉぉ! 帰って来たか!!」
「北のどこを見て来た?」
「ヴェネツィアはどうだった?」
「ヴェローナとか、ラヴェンナとかにも行った?」
シエナでは本当に、ルーカやジョルジョ、マルタが重太の旅からの帰りを待っててくれたのでした。
「………。」
寂しい思いをしたジェノバとは正反対のなんとも嬉しい待遇です。

「よし、ピザを買いに行こうぜ!」
「シゲェタは何がいい?」
「おいしいやつ。」
「イタリアのピザはみんなうまいぞ!!」
「にゃーも、にゃーも!!」(=行こうぜ!)
男性陣が車で近くのピッツェリアにピザを買いに来ました。
この騒々しさ。
なんだが、久しぶりに地元に戻って来たような感じです。

「どう、イタリアに来てよかった?」
マリッサが聞いて来ます。
「……うん、いいねぇ、イタリアは!!」
重太は一言、しみじみと答えました。

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 最後の訪問都市
1993年9月7日 [アッシジ] ★★

40日におよぶ重太のイタリア滞在の最後の訪問都市は、 「第2のキリスト」と言われた聖人フランチェスコを生んだ聖地として名高いアッシジです。

assisi その聖フランチェスコを祀ったサンフランチェスコ大寺院は斜面に立っています。
「……天井がやけに低いなぁ…!」
この大寺院は、上下2層からなっている他では見られない独特のものでした。
下層が低いのも上層があるためとわかれば納得もいきます。

ドゥオーモ、サンタキアラ教会、コムーネ広場と丘の上の町をゆっくり歩いてまわりました。
「ここは聖人の町なんだなぁ。」
他の場所では見かけない黒い修道僧をよく見かけました。
静かな町のたたずまいにマッチした風景です。
中世の世界に舞い戻ったかのような錯覚におそわれます。

「(あ、また日本人を発見)」
町のコンパクトさからか、日本人観光客をよく見かける町です。
「(なんでこんなに日本人ってどこでもいるんだろう?)」
自分もその日本人の一人のクセによく言います。

さらに高い岡の上にあるマッジョーレ城塞からは、アッシジの町や少し離れた駅の方も見渡せました。
「こののどかな田園風景もあとちょっとでお預けか…」
重太のイタリアの旅も終わりを告げようとしています。

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 招待状
1993年9月7日 [アッシジ → シエナ] ★★

「おかえり、シゲェタ! アッシジはどうだった?」
「あれ? マリッサ!」
シエナ駅では再びマリッサが重太を迎えに来てくれました。

at ristorante 「アンドレは相変わらず忙しいみたいだから、一緒に外で食事しない?」
「チェルト!!」(=もちろん!!)
「はは。イタリア語、たくさん覚えたね。」
イタリア美女といっしょにレストランで食事するのは、なんともうれしいものです。
ちょっぴりドキドキしてしまいます。

「アンドレ、また留学するって勉強がんばってるよ。」
「がんばるな、あいつも。」
「わたしも来年、イギリスに留学するつもりなの。」
「へぇ!! みんながんばるねぇ。」
「シゲェタよかったら、遊びに来てよ。」
「イギリスかぁ…。」

彼がアルゼンチンに住んでいた1982年に、 マルビーナス(=フォークランド)紛争があったため、彼はあまりイギリスに好意的になれない様です。

「…でも、行ったことのない国だから、行ってみるか!」
「ホントに? 絶対来てよ!」
その存在感だけでまわりの空気をなごめるイタリア美女がうれしそうに微笑みました。

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楽しかったイタリアでの日々も終わり、いよいよ日本に帰る時がやって来てしまいます。

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日本へ帰国



 イタリア93 [ 6、イタリア放浪3 ] 目次 

ヴェネツィアへ ………列車で目指す水の都

大運河くだり ………運河を水上バスに乗って遊覧

サンマルコ広場周辺 ………ヴェネツィアの観光の中心地

ヴェネツィア散策 ………気ままに水の都を放浪

ヴァポレットの旅 ………水上バスに振り回される

ヴェネツィアン・ガラスの島へ ………ムラーノ島放浪

ヴェローナ散策 ………ロミオをジュリエッタの町へ

大都市、ミラノ ………商業的な大都市

ミラノ散策 ………名所をめぐっていると…

心温まる町、コモ ………アルプスのふもと、湖畔の町へ

地図にない地を目指して ………山頂の何かを求め、登山

ジェノバの日曜日 ………何もない日曜の午後

地元へ ………シエナに戻る

最後の訪問都市 ………奇跡の町、アッシジ訪問

招待状 ………次の旅への招待状

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