
独立記念日の騒動にもみくちゃにされ、メキシコシティーでの日々は思い出深きものになりました。
これからは各地をめぐるトラブル続きのメキシコ浪夢が始まります。
[ 1、メキシコシティー 編 ] [ 2、トラブル 編 ] [ 3、ユカタン半島 編 ]
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長時間、バスの旅 その1 [ → グアナファト ] 1997年 9月16日 ★
重太、うるびー、トシやん、キタさんの4人は、メキシコシティーから世界遺産の町グアナファトを目指すことにしました。
「すっげー、いいじゃん!」
乗ったバスは、なんと冷房&テレビ付き。
シートもクッションがよくきいた大型の『ベンツ』でした。
メキシコは『ボロボロなバス』と勝手に決めつけていたことを反省しなくてはいけません。「ばーもす!」(=行こう!)
ジュースとスナック付きの、快適なバスの旅が始まりました。「なんだ、なんだ?」
州をまたぐ際、検問所のような所で自動小銃を抱えた軍人らしき人たちが乗って来ました。
車内の通路を一番後ろまで歩き、乗客の顔を一人ひとりにらみつけます。
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一通りジロリと見回した後、その人たちは降りていきました。「なんだったんだ? 今の?」
「…こえぇぇ…。」
あやしい奴はしょっぴかれてしまうのでしょうか?
なんとも迫力と緊張感のあるバスの旅が始まってしまいました…。
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長時間、バスの旅 その2 [ → グアナファト ] 1997年 9月16日 ★
緊張感のある検問の後には、果物やおかし、飲み物などを持った売り子さんがバスに乗り込んで来ます。
「どう? 買わない?」
「ノー! ノー キエロ!!(=いらないよ!!)」
重太たちは、首と手を必要以上に横にふって売り子たちを追い払います。「なぁ、なんでスペイン語なんか知ってんの?」
キタさんが聞きました。
「私はアメリカの大学で『ごく基本的なスペイン語会話』を勉強したんですよ。」
うるびーが答えます。
「私はアルゼンチン 仕込みの『なんちゃってスパニッシュ』ですよ。」
重太も負けずに答えます。キタさんは再びメキシコシティーに戻った後は、一人で旅を続ける予定です。
その時のために、うるびーたちに簡単なスペイン語を教わることになりました。「『ドンデ エスタ 〜?』、で『〜はどこですか?』ってことです。」
うるびーがバスの中で手際よく必要と思われる慣用表現を教えます。
「『カラムーチョ』は『とっても辛い』という、こじゃれた和製スペイン語ですよ。」
重太がその横から旅では全く使えない言葉ばかり教えます。「グラシアス!(=ありがとう!)これでもう恐いもんなしや!」
即席スパニッシュ・スピーカーの一丁上がりです!
まがりなりにも言葉は使う事でどんどん進歩していくことでしょう。「…ぐぅ…、…ぐぅ…。」
横でトシやんはしっかりと寝ていました。
完全にうるびーと重太を頼り切っていて、スペイン語を覚える気は全くない様です。
迷子になった時のこととか一人になった時のこととか、あまり考えてない様です…。小さな家が並ぶ田舎町、大きな都会を何度も通り過ぎ、バスは北北西に進み続けます。
ジャッキーチェンの映画を見終わった頃、バスはグアナファトに到着しました。
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ミイラ博物館 [ グアナファト ] 1997年 9月16日 ★
「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………おえっ。」
ミイラ博物館から出て来た4人はみんなグロッキー状態です。長距離バスでわざわざ4時間半もかけてグアナファトまで来て、こんな気持ちになるとは思ってもみませんでした。
当分の間、食費はかからずに済みそうです。
グアナファト一の観光名所(?)であるミイラ博物館は『ものすごい!』としか言えません。
入口から出口に向けて一直線にのびる廊下の右側には、上下2段にミイラが延々と置かれています。(右、イラスト)
若い人、年寄り、男、女…………。
口を開けたもの、腹がへこみきったもの、…………。
穏やかな寝顔、すごい形相、崩れた顔、…………。
多種多様、十人十色のミイラがそこにはありました。
ミイラというよりは、『腐っていない死体』と言った方が適切かもしれません…。廊下の左側には小部屋が並んでいます。
軍人、赤子、身分の高そうな人、子供、…………。
そこにもまた別のミイラがガラスケースの中にたくさんたくさん置かれています。
お金をとって人の死体をこんな見せ物にしていいものなのでしょうか?「………………。」
「………………。」
「………………。」
「………………おえっ。」
博物館を出た後、4人はしばらく口をきけませんでした。
これ程たくさんの生々しい乾いた死体を一度に見たとなると、精気を思いっきり吸い取られたような気がします。
…確実に寿命が10年くらい縮まったことでしょう…。博物館の裏手にはお墓がありました。
「墓の維持費がなくて墓からあふれた死体を博物館に置いてるんじゃないの?」
「まさかぁ…。」
「……でも、ありうる……。」
なんだかとんでもない町に来てしまったような気がしてきました。その後、訪れた町中にも棺桶屋がたくさんありました。
「おれたち、この町から生きて出られるのかなぁ…。」
キタさんがぼそっとつぶやきました。
「………………。」
なんだか笑えない一言です。
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グアナファト観光 ![]()
[ グアナファト ] 1997年 9月16日 ★
気を取り直して、グアナファトの町中へ観光に出かけます。
ここ、グアナファトは、18世紀頃は世界最大の金銀の鉱山だったそうです。
町の中には当時のトロッコが何気なく飾ってあったりします。身分の違う男女がベランダ越しに恋に落ちたと言う『口づけの小道』に来ました。
「…すっごく狭い路地だなぁ。」
そこで起こった悲しい恋の結末など、ミイラ博物館で度胆を抜かれた重太には全く関係無いようです。
そこから『ピピラ記念像』のある高台まで、ゆっくりと歩いて上りました。
スペインからの独立戦争の際、右手にたいまつをかかげ、敵軍要塞に特攻をかけた一人の若い鉱山労働者がいたそうです。
それがこの朱色のレンガで作られたピピラ像とのことです。
像の内部はほんの2、3人だけ上がることが出来るようになっていました。「おおおぉぉ!!」
ピピラ像内部の展望台から見える景色はとても素晴らしいものでした。
スペイン植民地時代の影響を色濃く残す世界遺産の町並み。
『グアナファト大学』も、上から見ると綺麗な外観がよくわかります。
その先に見える小高い山々と綺麗な空。
先程、ミイラ博物館で失った精気がこの景色によってちょっとだけ蘇って来た様です。
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お城に泊まる [ グアナファト ] 1997年 9月16日 ★
「このホテルに行ってみようぜ!」
うるびーの提案で丘の上にあるカスティージョ・サンタ・セシリアというホテルへ行ってみることにしました。
『カスティージョ』とはスペイン語でお城を意味します。
その名の通り、外観、内装共に『中世のお城』という感じのホテルでした。
「4人で579ペソか…。一人145ペソ。約4500円。悪くないか。」
宿泊代がめちゃくちゃ高いのかと思いましたが、お手ごろ価格なので泊まることにしました。キタさんが旅に加わったことにより、2人部屋を二つとりました。
これでしばしじゃんけんでベッドを奪い合う必要が無くなくなりました。
じゃんけんの弱い重太は一安心です。町の大衆食堂で「ドラゴンボールZ」を見ながら夕食を済ませ、ホテルに戻りました。
『ピッコロだいまおう』のことを『ピッコロだいまくう』と呼んでいたのが気になります。フロントでカギを受け取る時、ボーイさんが何か言いました。
「電気がつかないって言ってなかった?」
うるびーが重太に聞きます。
「…そう言ってたみたいだけど、まさかなぁ…。」
自分達の中途半端なスペイン語力のため、多分、聞き間違えたのでしょう。部屋に行く廊下は真っ暗です。
「…もしかして?」
「……もしかするかも…。」
外から入ってくる微かな光をたよりに、なんとか自分達の部屋に戻って来ました。カチッ…
照明のスイッチを入れますが、照明はつきません。
カチッ、カチッ、カチッ…
何度やってもつかないものはつきません。「お湯もでねぇよ…。」
トシやんが部屋の中の暗闇でつぶやきました。
窓の外の町並みの街灯は綺麗に光って見えます。
となると、このお城型ホテルだけ、原因不明の停電の様です。
どうやら先ほどのボーイさんのセリフは聞き間違いではなかった様です。「……寝るか。」
夜9:00。
真っ暗で何も出来ず、とっとと寝ることにしました。
照明に関しても中世のお城を忠実に再現しているのでしょうか?
…なんともすばらしいお城型のホテルです。
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人類学博物館 [ メキシコシティー ] 1997年 9月17日 ★
グアナファトのお城のホテルで一泊して、4人は再びバスでメキシコシティーへ戻ります。
チャプルテペックの森にある『国立人類学博物館』へ向かいました。高さが2mもあるオルメカの『巨石人頭像』。
生け贄の心臓を置く台の『チャックモール』。
パレンケで発見された『ひすいの仮面』。
そこには、アステカ、マヤ、オアハカなどのメキシコの文明を代表する数々の石像、柱、装飾品などが一同に展示されていました。
他にも3つ足のある土で出来た壷や、コヨーテのかぶりものをした人間の石像、戦士をかたどった石柱など、 興味深いものがたくさんあります。顎をあげ、口をあけ、鼻を上に向け、とぼけた顔をした土偶を見つけました。(写真、右)
こんなふざけた顔をした土偶を見た事がありません!
「ぷっ!」
そのユニークな顔に思わず笑ってしまいました。無表情な石像や土偶が多い中、「笑う顔」と題されたこの作品だけは明らかに何か違う『楽しさ』が表現されています。
「いやぁ〜、これ、いいわ!」
何度も戻って見に行ってしまうほど、重太には印象深い作品でした。
約1500年も昔の人の作品にこれほど笑わせられるとは…。
してやられた感じです。「どんな人が、どんな気持ちでこれを作ったんだろう?」
時を越えた見知らぬ作者とのふれ合い。
なんだかちょっと不思議な気持ちになりました。
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トラブル発生! [ メキシコシティー ] 1997年 9月18日 ★
「じゃ、日本でな!」
もともと別の旅の計画をしていたキタさんとメキシコシティーのホテルで別れました。
また重太、うるびー、トシやんの3人旅の始まりです。
「パレンケまで12時間もかかるバスはやめて、飛行機で一気に飛んじゃおうぜ!」
うるびーが提案してきます。
「いいんじゃない? 別に俺ら電○少年でここに来ているわけじゃないんだし。」
ヒッチハイクのみで大陸横断をしたはずのお笑いコンビが、実は途中で飛行機を使っていたことがわかり、 当時話題になっていました。
「日程に限りもあるしね。」
誰かに言い訳するように自分らの決断を一生懸命正当化し、 すぐさま航空券を買いに市内の代理店へ行きました。「トレス ビジェートス ポル パレンケ、ポル ファボール!」(パレンケ行き、3枚お願いします。)
たどたどしいスペイン語でなんとかパレンケ行きのチケットを買いました。
そして、急いで空港へ向かいます。「…ギリギリやな。」
フライトの時間まで後わずかです。
急いで各駅停車の地下鉄で空港まで行き、チェックインカウンターに駆け込みました。「その便のチェックインはもう終わりました。」
「うそぉ〜!」
「おねがいします!」
「残念ですが…。」
フライトにまだギリギリ間に合いそうなタイミングなのですが、チェックインさせてくれません。「おい、どうするんや!」
「飛行機のチケット代、もう払っちゃったし…。」
「まいったね、こりゃぁ…。」
重太たちはメキシコシティーの空港で予想外の足留めをくらってしまいました…。
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微笑ましい風景 ![]()
[ メキシコシティー ] 1997年 9月15日 ★★
今日中にパレンケへ着くつもりでしたが、飛行機にギリギリ乗り遅れたため、 それは不可能となってしまいました。
「とりあえず少しでも進んでおこうか?」
「そうだな、メキシコシティーにこれ以上いてもしょうがないからな。」
一つ遅い便にのって、飛行機を乗り換えるだけのはずだった町、トゥストラ・グティエレスまで とりあえず行くことにしました。
旅の限られた日程を考えると、正しい決断でしょう。
多分…。「はい、どうぞ。」
離陸前にメヒカーナ航空では棒付きキャンディーを配ってくれます。
パクッ!
こういうキャンディーは何故かもらったらすぐなめ始めてしまうものです。「うるびー! 後ろ見てみ!」
「?」
後ろをふり返ってみると、いい年をした大人がみな口から白い棒を出しています。
「ぷぷぷ…。」
それは、飛行機に乗り遅れた事を忘れさせてくれる微笑ましい風景でした。
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コーヒー事件簿 その2 ![]()
[ メキシコシティー ] 1997年 9月15日 ★★
飛行機はメキシコシティーを飛び立ちました。「何をお飲みになりますか?」
機内ドリンクサービスが始まりました。
「コークを下さい。」
重太の前にコーラが置かれます。
「何をお飲みになりますか?」
「こぉひぃ。」
そう言ったトシやんの前には『コーヒー』ではなく『コーラ』が出されました。「なんでコーラが出てくるんねん!」
日本語的発音、『こぉひぃ』の『こ』の発音からコーラが出て来てしまうのも無理もありません。
英語っぽく『カァフィ』と言わないとなかなか通じないでしょう。「コーヒーを飲みたいのに…。」
ここは一つ、スチュワーデスさんにガツンと文句を言ってコーヒーと取り替えてもらいたいところです。
「……まぁ、ええわ。」
引き下がって黙々とコーラを飲むのが彼のいいところです。
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コーヒー事件簿 その3 ![]()
[ オアハカ ] 1997年 9月15日 ★★★
45分程で飛行機はオアハカに到着しました。
30分程機内で待機した後に、トゥストラ・グティエレスへ向け、飛行機は再び離陸しました。もちろん、離陸前には棒付きキャンディーが配られます。
全員にキャンディーが配られた後、後ろを振り向くのはメヒカーナ航空の楽しみ方の一つです。「何をお飲みになりますか?」
再び、機内ドリンクサービスが始まりました。
「なぁ、重太、どうやったら『コーヒー』って外人に伝わるんや?」
トシやんもやっと自分で言葉を話そうという気になってきた様です。「この際、英語じゃなくて、スペイン語で攻めようぜ!」
「どういうこと?」
「英語の『カァフィ』っていう発音より、 スペイン語の『カフェ』の方が発音しやすいだろ?」
「……そやな。」
「だから、『カフェ 』って言えば、コーヒーが絶対出てくるよ。」
「…そうか!」
「アクセントがポイントだぞ! 後ろにアクセントだ!」
「…よっしゃ!」
トシやんは緊張してドリンクサービスを待ちます。
「何をお飲みになりますか?」
「ふご で まんさーな、ぽるふぁぼーる。(=りんごジュースを下さい。)」
重太はアルゼンチンで培ったスペイン語でお願いしました。
重太の前にりんごジュースが置かれます。さぁ! いよいよトシやんの番です。
「何をお飲みになりますか?」
「かふぇ。」
「あぁ、『たんびえん』?」
トシやんの前には『コーヒー』ではなく『りんごジュース』が出されました。
「なんでりんごジュースが出てくるんねん!」
「…くっくっく!」
このありえない状況がおかしくておかしくて死にそうです。どうやら『かふぇ』が『たんびえん』に聞こえた様です。
轟音とどろく飛行機内、飲み物をオーダーするシチュエーションで 単語の後ろのアクセントを強調したら、こんなことになるなんて…。『たんびえん』とはスペイン語で 私『も同じ』 に該当する言葉です。
「あぁ、あなたも(同じりんごジュース)?」
スチュワーデスさんは、そうとらえてしまった様です。「はっはっはっは!!」
「はっはっはっは!!」
この予想外の展開に重太もうるびーも笑いがとまりません。「『たんびえん』なんて難しい単語、知るわけないやろ!」
りんごジュースを前にトシやんはぐちり続けます。ここは一つ、スチュワーデスさんにガツンと文句を言ってコーヒーと取り替えてもらいたいところです。
「……まぁ、ええわ。」
引き下がって黙々とりんごジュース飲むのが彼のいいところです。
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予定外の町へ [ トゥストラ・グティエレス ] 1997年 9月18日 ★
オアハカから30分程のフライトで重太たちは『トゥストラ・グティエレス』へ到着しました。
ここはチャパス州の州都らしいのですが、日本から持って来たガイドブックにはこの地に関して、何も記されていません。
3人は何も情報のない町で一泊することになってしまいました。「…うそだろ…。」
飛行機は着陸したばかりの滑走路をUターンして戻っていきます。
「ぜんぜん飛行機がこない場所なのか…。」
どうやら滑走路は一本あれば十分の様です。
なんだかいやぁーな予感がしてきました。
「…あれ? 荷物はどこで受け取るんだ…?」
小さな空港ロビーには、普通の空港で見かける預けた荷物が乗って回るベルトコンベアーがありません。「…え? まさか…。」
ちょっとだけ傾斜のついたタイルばりの所にある窓から荷物がどんどん運びこまれました。(写真、右)
「これ、洗面所じゃないんだ…。」
確かにこんな小さな空港に大掛かりなベルトコンベアーは必要ありません。
それにしても、こんなスケールの小さい荷物の受け取りは初めてです。
いやぁーな予感はつのる一方です。とりあえずタクシーに乗り、町の中心部へ行ってもらいます。
空港付近は建物も少なく、道路も鋪装されていません。
緑が多く、田舎町のようでかなり質素な雰囲気です。「…おぉぉ。」
20分程タクシーで走ると、遠くに大きな町が見えました。
「とりあえず、ホテルはありそうだな。」
不安ながらも少し安心しましたが、観光名所など全くなさそうな雰囲気です。
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ケ セラ セラ 1 [ トゥストラ・グティエレス ] 1997年 9月18日 ★
トゥストラ・グティエレスの長距離バスターミナル前で3人はタクシーを降りました。「やった! バスの方が早くパレンケにつけるぞ!!」
うるびーが喜びながらバスの切符売り場から戻って来ました。
早朝発の長距離バスに乗れば、昼頃にパレンケに着けるようです。
予定していたパレンケ行きの飛行機は午後2時発なので、パレンケ到着は明らかに夕方以降でしょう。航空券は無駄になってしまいますが、早朝バスで移動をすることにしました。
限られた旅行日程を考えると仕方のない選択です。「よかったぁ。これで旅の日程を無駄にしないで済みそうだよ。」
うるびーは全く頼りになる奴です。
「よかった、よかった!」
重太とトシやんは喜んでついていくだけです。
飛行機に乗り遅れた時はどうなることかと思いましたが、なるようになるものです。
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ケ セラ セラ 2 [ トゥストラ・グティエレス ] 1997年 9月18日 ★
次は今晩の宿探しです。
「どう、ここ? いいんじゃない?」
うるびーがバス停からそれほど遠くない所に良心価格のホテルを見つけました。「一泊60ペソ(=約1800円)ならいいんじゃない?」
うるびーは全く頼りになる奴です。
「よかった、よかった!」
重太とトシやんは横で喜んでいるだけです。
田舎町でホテルなどないかと思いましたが、なるようになるものです。今まで3人一部屋で過ごしてきましたが、ここでは空き部屋の都合、シングルを3部屋とることになりました。
じゃんけんで2つしかないベッドを奪い合う必要はなくなりましたが、 一人で寝なくてはならない夜は少し心細いかも知れません…。
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サレ! プンポス!! [ トゥストラ・グティエレス ] 1997年 9月18日 ★
3人は適当にトゥストラ・グティエレスの町を散策し始めました。
ここは、ガイドブックに出てない町なので、とにかく適当に歩くしかありません。「日本人なんて来ないんだろうな…。」
町行く3人は行く先々で地元の人たちからジロジロ見られました。
あまり身の危険は感じなかったので、そのまま町の散策を続けます。「…ここみたいだな。」
うるびーが町で英語の分かる人に聞いた郷土料理のうまい店へ行ってみました。
「そこに行ったら『プンポス』っていうお酒を頼んでみな。おいしいぜ!」
地元の人はそう教えてくれたので、早速プンポスとやらを頼んでみます。
カラーン、カラーン、カラーン!!!
突然、陸上競技で最後の一周を知らせる鐘が店内に響き渡りました。
「ななななな、なんだ、なんだ?!」
「サァ〜レ! プンポス!!」
鐘を鳴らしたウェイターがそう大声で叫んだ後、大きなヒョウタンを持って重太たちのテーブルに来ました。
どうやらあの大きなヒョウタンにプンポスが入っている様です。ウェイターはヒョウタンから背の高いグラスにプンポスを注ぎました。
「あ、うまい!!」
恐る恐るプンポスを飲んでみると、なかなか爽やかな味です。
それは、ウォッカベースでパイナップルテイストのフローズンカクテルでした。
シャリシャリとちいさな氷がなんともいい感じです。「いいね、これ!」
ガイドブックにも載っていない町で意外にイイものを発見して、かなり得した気分です。「もう一回頼もうぜ!」
カラーン、カラーン、カラーン!!!
「サァ〜レ! プンポス!!」(=プンポスが出ます!)
ウェイターが元気にプンポスを運んで来てくれます。「もう一回頼もうぜ!」
「もういいって!」
味もさることながら、パフォーマンスがとってもナイスな『プンポス』。
トゥストラ・グティエレスでお薦めの一品です。
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長時間、バスの旅 その3 [ → パレンケ ] 1997年 9月19日 ★
早朝、6:30。
3人はバスでトゥストラ・グティエレスを発ち、パレンケを目指します。「う、やべ!!」
うるびーが急にバスの車内のカーテンを閉めました。
「どうしたの?」
窓の外には顔に布をつけ小わきに自動小銃を抱えた兵士たちがウヨウヨしていました。
「うわ、俺ら、もしかしてかなりヤバい所に来てたの?!」
「…そうみたいね…。」
…実は、チャパス州はそんなに安全な所ではないようです…。
何事も起こらない事を祈りつつ、バスの旅は続きます。:
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「まだ着かねぇの?」
日光いろは坂のような山道をバスはご機嫌なスピードで進みます。
「………酔った………。」
体を横に激しく揺られ、重太たちはバスの中でグロッキー状態です。:
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揺られ続けること7時間。
バスはなんとかパレンケに到着しました。
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密林の遺跡 [ パレンケ ] 1997年 9月19日 ★★
長時間バスに揺られ、重太たちは疲れ果ててしまいました。
しかし、せっかく飛行機より早くパレンケに着いたのです。
遺跡が開いているうちに行かないと、うるびーのナイスな旅の時間節約計画が無駄になってしまいます。
町からぎゅうぎゅう詰めのワゴンに乗り、遺跡へ行きました。
「………うわぁぁぁぁ……。」
そこには長時間バスで揺られた疲れなど一気に吹っ飛ばす石の建物がありました。
森林の中に突然現れる石造建築物郡。
何とも神秘的で刺激的です。
『碑銘の神殿』と呼ばれるピラミッド型の神殿では外側の階段を昇り、最上段まで上ります。
そこから内部へ下る階段がありました。(写真、左)表面のぬれた石の階段をゆっくりと降り、一番下まで行くと不思議なレリーフの石盤がありました。
「王の墓って言われてる棺だよ。表面には埋葬された王が再生する様子が描かれているとも宇宙人が描かれてるとも言われてるんだ。」
うるびーのためになる遺跡解説が重太の好奇心をそそります。
「これ、絶対、宇宙人やわ! 宇宙人、宇宙人!」
横でトシやんが感激を上まわる興奮口調で宇宙人説を連呼していました。他にも『宮殿』(写真、右上)、『伯爵の神殿』、『太陽の神殿』と呼ばれる数々の石造建築があります。
どれも学者が便宜的にそう呼んでいるだけで、実際はどういう役割の建物なのかはまだ解明されていない様です。
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負傷! [ パレンケ ] 1997年 9月19日 ★★
「面白い! おもしろい!!」
それまであまり遺跡などの興味の無かった重太ですが、実際に不思議な建物を見、うるびーの解説を聞くとがぜん興味が湧いて来ます。
誰が、いつ、なんのためにこれらを造ったのか?
そんなことを考えていると、なんだかとても神秘的な気分にひたれます。
「次は何があるんだろ?」
森林のなかにある階段を浮かれ気分で歩いていたその時です!
ツルーン!!
ドテッ!!!
表面がぬれている石の階段は思いっきり滑りやすくなっていました。
重太はお笑い芸人がコントで見せる以上の見事な尻もちをつきました。「…いってぇ…。」
左手はカメラを持っていたので、右手で全体重を受け止めました。
「血がでてるぞ!」
こんなところに来て、怪我をするとは思ってもみませんでした。傷口からどんなバイ菌が入るかわかったものではありません!
すぐさま入り口に戻ってミネラルウォ−ターを買い、ドロを洗い流します。「…………。まじで?」
治療して遺跡内に戻ると、すぐに閉園時間となってしまいました…。
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たのしい3人旅 その2 [ パレンケ ] 1997年 9月19日 ★
「…………せぇーの、じゃんけん ぽい!!!!」
「やったぜ!!」
「…まじ?」パレンケで泊まったホテルには、大きなベッドが二つしかありませんでした。
じゃんけんの勝者には1人でベッドを占有できる権利が、
敗者2人には同じベッドで一緒に寝れるという普段なかなか出来ない権利が授与されました。「……またかよ…。」
どうも重太はなかなか一人でゆっくりと寝させてもらえないようです。「……くそ。今度こそ勝ってやる!」
楽しい3人旅はまだまだ続きます。
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長時間、バスの旅 その4 [ パレンケ → メリダ ] 1997年 9月20日 ★
朝、8:10。
三たび長距離バスに乗り込み、今度はユカタン半島の北、メリダと言う町を目指すことにしました。
この日は1日使って、バスでの移動になります。:
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「揺れがないから、前のバスよりは快適だな。」
山道でないため、バスは快調に飛ばします。:
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昼は海の家の様な木々に囲まれたほったて小屋で食事をとりました。
「バスがどこにいるかだけは目を光らせとけよ。」
いつの間にかバスが発車していたらシャレになりません。
こんな所においてけぼりにされたら、多分生きて日本に帰れないでしょう。:
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食事を食べ終え、ながーいバスの旅はまだまだ続きます。
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長時間、バスの旅 その4 つづき [ → メリダ ] 1997年 9月20日 ★
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「よし、トランプでもやろう!」
うるびーが即興で造った全く新しいゲームを3人で始めました。「上! ……………よっしゃ!」
「下! ……………うわぁ!! はずれた!!」そのゲームとは、各プレイヤーに配られた7枚のカードを早くなくす、というものです。
しかし、手持ちの札を見てはならず、場に出ているカードより大きいか小さいか、 捨てる前に予想して宣告しなくてはならない、という一風変わったゲームでした。
■■■ 以下、細かいルール (ルールがどうでもいい人は読み飛ばして下さい。)■■■■■■■ 「勝ちぃーーーー!!」
7枚ずつカードを配ります。(人数に応じて4〜9枚でも可。)
プレイヤーは自分のカードを絶対見てはいけません。
他のプレイヤーに数字が見えるように持ちます。余ったカードを伏せたまま『山』として置きます。
山の1番上のカードをめくり、ゲームスタートです。プレイヤーは、場に出ているカードより大きいか小さいか、カードを出す前に、宣告します。
「だい!」「しょう!」「うえ!」「した!」「higher!」「lower!!」など、みんなにわかれば何でも構いません。当たれば、場に出したカードはそのままにしておけます。(実質1枚減ったことになります。) 外れると、場に出したカードはそのままで山から新たなカードを1枚引かなくてはなりません。(枚数の変化はありません。)
場にあるカードが「4以下」もしくは「10以上」の場合は、『チャンスタイム!』がおとずれます。
「4以下」の場合、「小さい」と宣告してあたった場合、同様に
「10以上」の場合、「大きい」と宣告してあたった場合、手持ちの札を無条件で更に2枚捨てることができます。
(はずれた場合は1枚引くだけ。)手持ちのカードが残り1枚になったら「うるびー!」と宣告します。
忘れた場合、ペナルティとして3枚引かなくてはなりません。
『チャンスタイム!』が成功し、2枚捨てる際も、残り1枚の時点で「うるびー!」と叫ばなくてはなりません。この様にして手持ちのカードを全て1番になくした人が勝ち、というゲームです。
■■■ ルール説明 終了 ■■■■■■■
「くそっ! もう1回やろうぜ!!」単純明解、なかなか熱くなれるゲームでした。
ゲーム名は制作者の名をとり、『ウルビィ!』に決定しました。「なんか、それ、やだなぁ。」
「何いってんだよ! 自分の名前がゲームの名前になっちゃうんだよ! すごいことだよ!!」「今度は俺の勝ちや!」
「くそっ! もう1回やろうぜ!!」いつの間にか、夕方の5:30になり、バスはメリダに到着していました。
この『ウルビィ!』のおかげでなかなか楽しい、快適なバスの旅でした。
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メキシコの旅もいよいよ終盤に突入です。
マヤ文明の遺跡が多数残るユカタン半島では、意外な再会が重太たちを待っています。
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メキシコ97 [ 2 トラブル 編 ] 目次
・長時間、バスの旅 その1 ………長距離バスで世界遺産の町へ・長時間、バスの旅 その2 ………簡単なスペイン語講座、始まる
・ミイラ博物館 ………その規模、無気味さに圧倒される
・グアナファト観光 ………高台からの素晴らしい景色
・お城に泊まる ………見た目は豪華、サービスは…
・人類学博物館 ………1500年前のすごい作品
・トラブル発生! ………パレンケを目指して飛行機に飛び乗ろうとするが…
・微笑ましい風景 ………些細なことを笑って気分転換
・コーヒー事件簿 その2 ………コーヒーを頼もうとしたトシやんに襲った悲劇
・コーヒー事件簿 その3 ………コーヒーを頼もうとしたトシやんに襲った喜劇
・予定外の町へ ………飛行機に乗り遅れたことでガイドブックにも出てない町へ
・ケ セラ セラ 1 ………移動もなるようになる旅
・ケ セラ セラ 2 ………寝床もなるようになる旅
・サレ! プンポス!! ………意外な町でおこった楽しいイベント
・長時間、バスの旅 その3 ………山を越えるのに大きな揺れが
・密林の遺跡 ………疲れをふっとばす遺跡群
・負傷 ………浮かれ気分の大きな代償
・たのしい3人旅 その2 ………2つしかないベッドの奪い合い
・長時間、バスの旅 その4 ………長く退屈なバスの旅
・長時間、バスの旅 その4 つづき ………退屈なバスのたのしい過ごし方
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