

「マラドーナの試合を生で見たい!」
あきらめていた小さい頃の夢がいよいよ実現する時がやってきました!マラドーナの引退試合がいよいよ始まります!
マラドーナ引退試合観戦記<1>へ 目次へ
マラドーナ、登場! 2001年11月10日 ★★★★★
「来たぁっ!」
マラドーナです!
アルゼンチン代表のユニフォームに身を包んだマラドーナがついにボンボネーラに姿を表したのです!!「…あれ?」
重太は初めて神様マラドーナを直接見ることが出来、感激する『はず』でした。
しかし、フィールド上をゆっくりと走る今のマラドーナを見て、驚きを隠せなかったのです…。マラドーナはかなり丸くぷっくりとした体型となっていたのでした。
以前テレビで見たがっしりした体型からさらに体重が必要以上に増えている様に見えたのです…。
「…大丈夫なのか?」
なんだか往年のスーパープレーをとても期待出来そうもありません…。
先程までの期待は驚きに変わり、そして大きな不安になっていきました。
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アルゼンチン代表、登場! 2001年11月10日 ★★
マラドーナに続いて、現役アルゼンチン代表の選手たちも登場しました。
ヴェロン、サネッティ、ロぺス、アジャラ、アルメイダ。
二日前、ワールドカップ南米最終予選、対ペルー戦を戦い終えたばかりの選手たちを顔をそろえていました。「…あれ? なんでみんな10番なんだ?」
胸番号はみな『10番』です。
いくらアルゼンチンの永遠の10番、マラドーナの引退試合とは言え、これはやりすぎです。
よくよく見ると、アルゼンチン代表のユニフォームのデザインがいつもとちょっとだけ違います。
どうやら、この引退試合特別仕様のユニフォームを着ている様です。
背番号はきちんとそれぞれの番号がついていました。「ワールドカップ南米予選を余裕で突破した最強のアルゼンチン現役代表とディエゴ(=マラドーナ)の夢のチームだよ!」
隣の席の若い男性が一緒に来ていた女性に向かって興奮気味に語っていました。
確かにアルゼンチンを代表する新旧夢のメンバーがそこに肩を並べていたのです!!
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スター軍団、登場! 2001年11月10日 ★★★★
アルゼンチン代表と共に赤と白のユニフォームを着た選手たちが入場してきました。「そういえば、この試合の対戦チームはどこなんだ?」
重太はただマラドーナの引退試合を見に来ただけです。
一体どういった試合が行なわれるのか、誰が登場するのかなど、全く知りませんでした。よく見ると、その中に一際目立つ金色のライオンヘッドの選手がいました。
「…まさか!!」
「そう、あれは元コロンビア代表、バルデラマだよ。」
隣の若い男性に聞いてみると、丁寧に答えてくれました。「ラッキー!」
アルゼンチンの英雄=マラドーナを見に来た上、コロンビアの英雄まで見れてしまうとは思いませんでした!「キーパーはボカの現役ゴールキーパーでありコロンビア代表でもあるコルドバ。」
「10番はボカのエースであり、マラドーナの後継者のリケルメだよ。」
その男性は、次々にフィールド上の選手たちの名前を教えてくれました。
「19番は、1994年ワールドカップアメリカ大会の得点王になったブルガリアのストイチコフ。」
「22番は、1998年フランス大会の得点王、クロアチアのスーケルだね。」
「すげぇぇ!!!」
そうそうたる顔ぶれです。
「あれは、エストレージャス(スターチーム)さ!」
マラドーナ率いるアルゼンチン代表と戦うのは、アルゼンチン(主にボカ)や世界各国から 招待された名プレーヤーたちで構成されたスターチーム(世界選抜)だったのです!!
アルゼンチン vs 世界選抜。
ドリームチーム vs スターチーム。
マラドーナの引退試合に華をそえる素晴らしいメンバーがボンボネーラにそろいました。「超ラッキー!」
世界中のスーパープレーヤーを一度に見る事が出来、思いっきり得した気分です!!
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キックオフまであと少し! 2001年11月10日 ★★
場内では出場選手が次々とアナウンスされていきました。「ディエゴー・アルマンドーーーーーーー・マーーラーードーーーーーナーーー!!」
ワアアアアァァァ…!!
最後にマラドーナの名がアルゼンチン代表のエースとして紹介されると、場内は今まで以上の大声援に包まれました。
マラドーナは両手をあげ、その大歓声に応えます。アルゼンチン国歌斉唱が始まりました。
「あぁ、覚えてるよ、これ!」
当たり前ながら、20年前聞いた国歌と変わっていませんでした。フィールド上ではマラドーナを中心に両チームの記念撮影が行われます。
撮影後、選手たちは本日の主役と握手をかわし、各ポジションに散らばっていきました。フィールド上いっぱいに散らばった紙吹雪を片付けるスタッフたち。
その横で大勢のカメラマンに囲まれたマラドーナはスパイクのひもを時間をかけしめ直していました。
現役選手として試合に臨む最後の準備をゆっくりと整えています。ボンボネーラ球場は座席が全く見えない程、ぎっしりと人がつまった超満員状態になっていました。
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先発メンバー 2001年11月10日 ★★★★
アルゼンチン代表 ARGENTINA 世界選抜 ESTRELLAS 1 ブルゴス 1 コルドバ 4 サネッティ 23 フェッラーラ 2 アジャラ 2 ベルムデス 6 サムエル 13 ガマッラ 3 ソリン 6 イヴァン・コルドバ 5 アルメイダ 4 ソラーノ 11 ヴェロン 10 リケルメ 10 マラドーナ 15 バルデラマ 16 アイマール 22 スーケル 7 C ロペス 9 フランチェスコリ 18 ゴンサレス 19 ストイチコフ 「すげぇぇ!!!」
メンバーの顔ぶれを見ているだけで、よだれが出て来そうです。
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そしてキックオフ!! 2001年11月10日 ★★
ピーーーー!
午後4時25分。
大観衆55,000人が見守る中、アルゼンチンの英雄=ディエゴ・アルマンド・マラドーナの引退試合はいよいよキックオフとなりました。
「いけぇーー!」
いよいよマラドーナのプレーを生で見る時が訪れたのです!
幼き頃からの夢が今叶うのです!
否応なく気分は高まりまくります!まずアルゼンチン代表の11番ヴェロンからマラドーナにボールが渡されます。
ワアアアアァァァ…!!
沸き上がる歓声。さぁ、マラドーナはここからどんなプレーを見せてくれるのでしょう?
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輝けない星 2001年11月10日 ★
アアアァァ………
マラドーナから前線へのパスは通らず、場内から溜め息がもれます。「今度はドリブルか?」
しかし、終始パスに徹するマラドーナ。
どうやら以前の様にドリブルで相手を抜き去る事は出来ない様です。
「膝を故障してるみたいだし、体重も重そう。何よりもう41歳だもんなぁ…。」
残念そうに隣の男性はつぶやきました。ボールが相手に奪われた後、小走りに戻る事も出来ずゆったり歩くしかないマラドーナ。
コーナーキックを自ら蹴りに行くものの、全てヴェロンへのショートコーナーでした。決して真剣勝負ではないゲーム、ゆっくりと展開される試合なのですが、マラドーナのプレーが光る事はありませんでした。
「…もう、ダメなの…?」
試合開始直前の不安は現実のモノとなってしまいました。
せっかくマラドーナの最後の勇姿を見に来たのに、何だかとても残念でした…。
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輝き出した星 2001年11月10日 ★★★
「ディフェンス、カットするな!」
「シュートを打たせてやれ!」
マラドーナびいきの野次が場内から飛びかいます。
世界選抜の選手はすでに控えめにプレーしているのに、これではなんともやりにくことでしょう。:
:
:
:試合も進み、マラドーナから前線にいいスルーパスが出ました。
オオオオオォォォーーーー!!
場内から溜め息まじりの歓声が上がります。マラドーナがボールを奪いに来る相手選手をドリブルで軽くかわしました。
オーレーーーーーー!!
闘牛士が猛牛をかわす時に観客が叫ぶ掛け声がマラドーナに送られました。全盛期のプレーは出来ないながらも、マラドーナならではの『何かしでかしてくれそうなプレー』を見せ始めてくれました。
温かくプレーの一つ一つを見守るサポーター。
マラドーナの調子も徐々に上がってきている様に見えました。マラドーナがシュートを放ちました。
オパッ!!
シュートは惜しくもゴールの上を越えていきました。
パチ パチ パチ パチ…
ゴールに入らなくても「惜しい!」と言わんばかりに場内から暖かい拍手が送られました。「…なんか、いいじゃん!!!」
マラドーナが登場した時感じた不安は試合が進むにつれ、少しずつ消えていきました。「マラドーナがシュートを打つところを生で見られたよ!」
「アルゼンチンでサッカーを生で見られたよ!」
場内が一体となってマラドーナを盛り上げている雰囲気は素直に感激できるものでした。「見に来てよかったぁー!」
重太の気分も徐々に盛り上がっていきました。
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一流のプレー 2001年11月10日 ★★★★
リィケェーーーールメ! リィケェーーーールメ!
世界選抜チームの10番でもあり現在のボカの10番でもあるリケルメにも大きな声援が送られます。
ここボカのホームスタジアム、ボンボネーラには多くのボカのインチャーダス(=サポーター)が集まっています。
マラドーナの後継者といわれるリケルメへの期待が大きいのもこの声援からわかりました。リケルメからバルデラマへとボールがつながります。
すかさず前線のスーケルやストイチコフにボールがまわります。
オーーーー!!
惜しいシュートが何本か放たれました。「す、すげぇぇ!!!」
スター選手の連携プレーも素晴らしいものであり、こちらも常に何かを期待させてくれました。
この試合は宿敵チームとの対戦でもなければ、国家の威信をかけ絶対勝たねばならない試合でもありません。
お祭りムードいっぱいにゲームは進んでいきました。「リィケーールメ!」
「ヴェローーン!」
球場を訪れた誰もがそこで展開される一流選手たちのプレーを心から楽しんでいました。
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そしてハーフタイムへ 2001年11月10日 ★
ゴーーーーーール!
前半16分、アルゼンチン代表のクラウディオロペスが先取点を決めました。
続く29分には、世界選抜のスーケルが豪快なゴールを決めました。1ー1のスコアで前半があっという間に終了しました。
前半45分がこんなに短く感じられた事は今までありません!ピッチを去る際、マラドーナは着ていたユニフォームをスタンドへ投げ入れました。
ウォォォーー!
スタンドでは当然激しいユニフォーム争奪戦が始まりました。
「いいなぁ…!!」
怪我をしてもいいから、その混乱に乱入してユニフォームをかっさらいたい気分でした。
しかし、重太の席はあまりにも遠く離れ過ぎていました。その後、しばらくして場内は落ち着きを取り戻しました。
特設スクリーンに美人女性ファンが映し出されてます。
ヒューーー! ヒューーー!
それを見て、口笛をならし大喜びする男性サポーターたち。
スクリーンに映し出された女性たちもノリがよく、笑顔でカメラに手を振っています。
次々に美人女性サポーターがスクリーンに映し出されます。
「いいねぇ!!」
なんともラテンらしい心踊るハーフタイムです。「やっぱり、ディエゴのゴールを見たいよなぁ…。」
隣の男性が前半を振り返ってそうつぶやきました。
「(賛成!)」
確かに現役最後に優秀の美を飾るため、ここは一つ、ワンダフルでビューティフルなゴールを欲しいところです。「…でもなぁ…。」
先程までのプレーを見て、今のマラドーナにそれを期待するのは難しい気もしました。
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最後の45分間、スタート 2001年11月10日 ★★
ハーフタイムが終わり、再び選手たちがピッチ上に姿を現わしました。
オオオォォォォーーー!
沸き上がる場内。
「あぁ! マテウス(元ドイツ代表)、イギータ(元コロンビア代表名物キーパー)が世界選抜にいる!!」
過去のワールドカップをわかせた有名選手が新たに登場し、さらに驚かされます。ピーーーー!
そして、マラドーナ現役最後の45分間が始まりました。ゴーーーーーール!
後半4分、アルゼンチンのアイマールがゴールを決め、スコアは2ー1となりました。
マラドーナのプレーは前半同様、抜群のキレはみられません。
マラド−! マラドー!
しかし、今日、このボンボネーラに集ったサポーターが望んでいる事はたった一つです。
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ゴー−ー−ーーーール!! 2001年11月10日 ★★★★★★
『その時』はついに訪れました!ピーーーー!
後半16分、ペナルティーエリア内でアルゼンチンの選手が倒され、ペナルティキックが与えられました。オオオォォォォーーー!
一気に盛り上がる場内!
それを蹴るのはもちろんアルゼンチン代表の10番、ディエゴ・アルマンド・マラドーナです。マラド−! マラドー!
本日の主役にゴールを期待するサポーター。
場内の歓声が一層大きくなました。マラドーナがボールをゆっくりペナルティスポットに置きます。
呼吸を整え、ゆっくりと助走をするマラドーナ。
全ての人の視線がそこに集まります。
ゴーーーーーーーーール!!左足で蹴られたボールは、静かに『10』と書かれたゴールネットを揺らしました。
オオォォォーーー!
場内はさらに沸き上がります。
飛び跳ね、大喜びするサポーター。
それによってボンボネーラ球場自体も大揺れしています!
この球場、近いうちに絶対壊れることでしょう。「うおおおぉぉぉぉ!!!」
重太も大興奮です!
PKだろうとゴールはゴールです。
ボンボネーラにいる全ての人間がこの瞬間を待っていました!!ゴールを決められたキーパー=イギータは、ゴールを決めたマラドーナに近寄って行きしっかり抱きあいました。
「いかにも引退試合って感じだなぁ…!」
敵チームの選手が相手のゴールを祝福するなんて、なかなか拝めないシーンです。
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最高のファンサービス 2001年11月10日 ★★★★★
マラドーナはゴールを決めた喜びをユニフォームを脱いで表現しました。
オオオオオォォォォォォーーー!
ここでサポーターから今日一番の大歓声が上がります。
マラドーナが脱いだアルゼンチン代表のユニフォームの下からは、なんとボカのユニフォームが現れたからです!
ここは以前マラドーナが所属したボカのホームスタジアム、ボンボネーラ。
アルゼンチンを愛し、ボカを愛し、そしてマラドーナを愛する人たちが集ってくるのです。
これを見たボカのサポーターは大興奮し、狂喜乱舞したのでした。「魅せるなぁ!! マラドーナ!」
このマラドーナのパフォーマンスはがっちりサポーターのハートを掴むものでした。
素晴らしいファンサービスに盛り上がるボカのサポーター。
それにつられ、にわかボカファンの重太も一気に盛り上がっていました。マラド−! マラドー!
ゴールの歓声はしばらくやみませんでした。
試合が再開してもマラドーナはしばらくの間ボカのユニフォームのままプレイを続けました。
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盛り上がるボンボネーラ 2001年11月10日 ★★★★★
数分後、マラドーナは再びアルゼンチン代表のユニフォームをその上から着ました。さらに調子が出て来たマラドーナは、ペナルティエリア付近からミドルシュートを放ちます。
そのボールをキーパーのイギータがダイビングヘッドでクリアすると見せかけ頭にはあてず、 足を後ろに折り曲げスパイクの裏側でクリアしました。
オオオォォーー!
彼のお得意の『スコーピオンキック』でボンボネーラはまたまた沸き上がります!その後、マラドーナはアルゼンチン代表のユニフォームを完全に脱ぎ、『10』と書かれたボカのユニフォームでプレーを続けました。
オオオオオォォォォーーーー!!!
これに再び大喜びするボカのサポーター。よく見ると、そこに書かれた名前は『MARADONA』ではありません。
現在のボカの10番、『ROMAN』(リケルメのミドルネーム)でした。
「リケルメを代表に!」
それは、なかなかアルゼンチン代表に召集されないリケルメを推薦するためマラドーナの後継者想いのパフォーマンスだったのです。「なんか変なの!」
一人だけ全くデザインの違うユニフォームを着た選手がピッチ上にいます。
公式戦では絶対あり得ない不思議な光景がそこにはありました。
体型も一人だけやけにプックリしているので、とにかく目立ちます。「ボカの選手(マラドーナ)から元リーベルの選手(アイマール)にパスが出ました!」
ボカとリーベルはアルゼンチンリーグでも優勝を争うライバルチームです。
テレビの実況ではお祭りゲームでしか実現しないプレーの解説に盛り上がっていたそうです。
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珍事件発生! ![]()
2001年11月10日 ★★★★★★
その後、両チームはそれぞれ点を加えていき、スコアは5ー2となりました。
アルゼンチン代表がリードしたままゲームは進みます。後半43分。
『サッカー史上、見た事も聞いた事もない珍事』が発生しました。アルゼンチンの選手が世界選抜の選手を倒しました。
世界選抜側にペナルティキック与えられます。マラドー! マラドー!!
場内から相手=世界選抜チームのPKをマラドーナに蹴らせろ、とのリクエストが出たのです!
最後にマラドーナのゴールを一つでも多く見たい、という事なのでしょう。
世界選抜の選手たちもマラドーナにPKを蹴らせようという雰囲気です。『PKを相手選手に蹴らせる』など聞いた事がありません。
ゴールが決まれば自殺点になり、こんなマヌケな話はありません。
キッカーがわざとゴールをはずすのは当然だからです。
しかし、この場はマラドーナの引退試合。
マラドーナがするなら何でもありの無法状態なのです。
手を使ってゴールしても誰も文句を言わないでしょう。「マラドーナはPKを蹴るのかな? 蹴らないのかな?」
普段のゲームなら『絶対にあり得ない』シチュエーションになんだかワクワクしてきます。「蹴るのだったらきちんと入れるのかな? それともチームの為にはずすのかな?」
前代未聞の世紀のペナルティキック。
一体どうなるのでしょう?
その行方がとても気になります。
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そして、試合終了 2001年11月10日 ★★★
ゴーーーーーーーーール!!ペナルティキックを決めたのは世界選抜のキーパー、イギータでした。
さすがにマラドーナが相手チームのPKを蹴る、ということにはなりませんでした。
なんだかちょっとだけ残念です。
ペナルティキックで自殺点というのもお祭りっぽくて面白いと思ったのですが…。オオォォォーーーー!!!
続く後半45分。
ちょっとしたなんでもないファールでアルゼンチンチームに再びペナルティーキックが与えられました。
今度こそこれを蹴るのはマラドーナです!軽く助走をつけ、マラドーナがボールを蹴ります。
ゴーーーーーーーーーーール!!
マラドーナはなんなく今日2点目のゴールを決めました。
キーパーのイギータは軽く体重移動をするだけでボールをセーブしようという気配は全くありませんでした。
もし、ゴールを阻止したらアルゼンチンサポーターに袋だたきになっていたことでしょう。
ピッ、ピッ、ピーーーー!
そして、試合終了のホイッスルが吹かれました。試合結果は6ー3。
マラドーナは自らの2ゴールで引退試合に華を添えました。
アルゼンチン代表 ARGENTINA
6世界選抜 ESTRELLAS
317分 C・ロペス
49分 アイマール
60分 マラドーナ(PK)
75分 カストロマン
86分 アイマール
90分 マラドーナ(PK)29分 スーケル
78分 カントーナ
88分 イギータ(PK)
日時: 2001年 11月 10日 (土)
天気: 晴れ
観衆: 55000人
球場: ブエノスアイレス、ボカ=ボンボネーラ・スタジアム
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重き最後の言葉 2001年11月10日 ★★★★★
試合終了後、アルゼンチン代表のウサインによって肩車されたマラドーナ。
全ての選手に囲まれながら大歓声に包まれた場内を一周しました。
彼の表情から笑顔は消え、その顔は涙で覆われていました。
その後、フィールド中央に用意されたステージにマラドーナは上がりました。
「………………………。」
両腕を抱えたまま、しばらく言葉もなく立ち尽くします。ステージわきでは先ほどまで一緒にプレーした選手たちや大勢のカメラマン、 そしてスタンドを一杯に埋め尽くしたサポーターが固唾を飲んで彼の最後の言葉を待っています。
「………私は、ドーピングなどで間違いを犯したりもした。」
しばらくして、マラドーナは静かに、そしてゆっくりとスピーチを始めました。
「しかし、その過ちは十分サッカーで償えたと思う。
サッカーボールはそんな罪に関係なく最高の時を私に与えてくれた。
私はサッカーで幸せをつかみ、ファンを幸せにすることが出来たと思う。」
「確かにそうだなぁ…。」
この2ヶ月前、9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ。
この数日後に起こるアルゼンチン経済危機による暴動。
これらは直接一般人を不幸のどん底においやります。
でも、スポーツは人に感動を与えます。
過去のマラドーナのプレーは世界中のサッカーファンを魅了したと言えるでしょう。
「実際、今日も感激、感動し、幸せな気分を味わったもんなぁ…。」
麻薬やドーピングなどはマラドーナ個人の問題であり、もちろんほめられたものではありません。
しかし、それは直接一般人の生活をおびやかしたりするものではありません。
それ以上にマラドーナからお金で買えない夢や希望をサッカーファンは与えてもらっているはずです。
「いいこと言うぁ、マラドーナ!」
そこまで深い意味があるかどうか不明ですが、とにかく心に残るスピーチでした。
「一人の選手のためにこんな試合をしてくれて本当にどうもありがとう。」
ワアアアアァァーーー!!!
涙まじりのこのスピーチに場内から温かい拍手が送られました。
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つわものどもが夢のあと… 2001年11月10日 ★★★
♪キシエラ ヴェル アル ディエーゴー パーラ シエンプレー…
♪マラドー! マラドー!!
『PARA SIEMPRE DIEGO』(ディエゴよ、永遠に)という曲にあわせ大合唱するサポーター。
スタンドの声援にこたえ、両手をふるマラドーナ。
ステージから降りたアルゼンチン・サッカー界の英雄は、大きな感動を残して静かにフィールドを後にしました。
「…おわっちゃった…。」
あっという間の2時間でした。
夢の実現、期待、不安、身の危険、感激、感動、大満足。
重太はマラドーナの去ったフィールドを眺め、そこで味わった様々な想いを今一度思い返していました。
「♪…… マラドー! マラドー!!」
そこしか歌詞を知りもしないくせに、『PARA SIEMPRE DIEGO』を口ずさみながら重太はボンボネーラを後にしました。
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夢叶い 2001年11月10日 ★★
悪天候による試合中止の恐れ。
たらいまわしにされた入場前のトラブル。
試合開始前の柵越え侵入騒動。
「どうなるんだ…。」
不安が何度もよぎる試合開始前でした。
そうそうたるメンバーが揃った世界選抜の連携プレー。
現役アルゼンチン代表とマラドーナの共演。
ファンの心を掴むマラドーナのユニフォームパフォーマンス。
そして現役最後を飾る2ゴール。
「来てよかったぁ!」
終わってみればかすり傷一つ負わずに済み、大満足の結果でした。
こんなワクワクする試合を直接見ることが本当に幸せでした。
幾度がくじけそうになった世界一周の旅路の果て、大きな勇気をもらい重太は感謝の気持ちでいっぱいでした。
「1度でいいからマラドーナの試合を生で見てみたい!」
「いつか、アルゼンチンでサッカーの試合を生で見てやる!」
幼き頃思い描いた夢は、20年の時を越え、ようやく達成されました。
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マラドーナ引退試合観戦記 <2> -目次-
・マラドーナ、登場! ………主役登場! しかし1つ大きな不安が…・アルゼンチン代表、登場! ………スペシャルユニフォームで登場!
・スター軍団、登場! ………謎だった対戦相手登場!
・キックオフまであと少し! ………国歌斉唱、記念撮影がおわり…
・先発メンバー ………世界中から集まったそうそうたる顔ぶれ
・そしてキックオフ!! ………マラドーナ現役最後のキックオフ
・輝けない星 ………重く、冴えないプレー
・輝き出した星 ………徐々にあがってくる調子
・一流のプレー ………世界のトッププレーヤーの最高のプレー
・そしてハーフタイムへ ………同点のままハーフタイムへ
・最後の45分間、スタート ………マラドーナ現役最後の45分が始まる
・ゴー−ー−ーーーール!! ………ついに誰もが待ち望んでいた瞬間が!!
・最高のファンサービス ………マラドーナの心憎いパフォーマンス
・盛り上がるボンボネーラ ………お祭りゲームも最高潮に!
・珍事件発生! ………サッカー史上、誰も見た事のない『ありえない』事件が?!
・そして、試合終了 ………有終の美を飾るゴール
・重き最後の言葉 ………心に残るマラドーナのスピーチ
・つわものどもが夢のあと… ………フィールドを去るマラドーナ
・夢叶い ………やっと達成された20年越しの夢
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